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    福ト協 NRSの楽曲で運送業PR「モノ動かなきゃ明日はない」

    2018年7月10日

     
     
     

    企業・団体が事業や商品について、「社会の人々に理解してもらい」「信頼関係を築き」「最終的にファンになってもらう」ためのコミュニケーション活動を広報と呼ぶ。その手法は様々だが、トラック協会の中で珍しい広報活動を行っている団体が福岡ト協(眞鍋博俊会長)だ。

    福ト協では、プロのアーティストにトラック運送事業についての曲の制作・歌唱を依頼。YouTubeにPR動画をあげるなど独自の広報活動を展開している。PR動画は福岡の運送会社をまわり、ドライバーが出演し撮影された。福ト協ホームページにはリンクも貼り、動画が視聴できるようになっている。「モノを動かさなきゃ日本の明日はない」というキャッチフレーズとともに展開している。本紙では、曲を提供したアーティストに制作への思いを、福ト協の広報委員会には制作にあたる経緯を、そしてこの広報活動が見せる新しい動きについて取材した。

    曲を制作したのは福岡を中心に活動するNaturalRadioStation(以下NRS)。レゲエシーンで全国に名を馳せ、AVEXからメジャーデビューも果たした。メンバーは勝男さんとLicoLionさんからなる実力派デュオ。元ソフトバンクホークス川崎宗則選手の入場曲、博多華丸大吉の舞台の出囃子に楽曲を使用されるなど多方面から熱い支持を得ている。

    「コンビニ、通販、身の回りにはトラックで運ばれたモノで成り立っているといっても過言ではない。その重要性を伝えることが使命だと感じた」と語る。制作を依頼されてドライバーや運送関係者へ聞き込みを行った。その中で感じたのは物流関係者の「熱きプライド」だという。

    「トラック業界はきつい、大変、つらい…といったイメージがあった」と語るのはメンバーの勝男さん。「だが、多少の差はあれ、どの仕事でも、きついのは当たり前。その中で使命感を持ちモノを運ぶ姿に感銘を受けた」という。「ありのままを伝えたいと感じた。スポットのあたらないドライバー、男の哀愁を伝えたい」と楽曲制作をスタートさせた。

    曲は哀愁漂うスローミディアムに仕上がっているが、「安全運転して頂けるBPM(テンポ)にし、歌詞に集中できるように」との思いがあった。また、制作にあたり協会関係者の「アーティストの意図を組んで頂く姿勢に感謝。スムーズに制作が進んだ」と振り返る。

    曲のお披露目は今年1月に開催された青年部九州ブロック大会のオープニング。「普段経験しない場で緊張したが、PR曲はダサいというイメージを払拭出来るよう力を込めて歌った」と語る。

    また、協会とともにイベントキャラバンも成功させ、各地で開催される行事にイメージソング、PVが放映されている。「ぜひこの活動を継続して続けていきたい。協会の応援は心に響いた。ぜひ恩返しを」と継続を希望しており、「次作があれば今度はアップテンポ、ドライバーあるあるなどコミカルな歌詞にもチャレンジしたい」と見据えている。

    「ドライバーの価値高める」堀兄弟運送 堀秀明社長

    福ト協で広報委員長を務める堀兄弟運送(福岡県糟屋郡)の堀秀明社長は「一般消費者に仕事を知ってもらう。若い人にこの仕事に対する興味を持ってもらう。そして何よりドライバーの価値を高めることを目的に曲を作った」と話す。

    同社長は福ト協の青年協議会に在籍していた頃から広報活動に携わってきた。20年近く、会員の協力を得て、手作りでの広報を行ってきたが、マンネリ感が拭えなくなってきた。リスクはあるが、何か新しいことをすべきではないか。そんな考えを抱くようになり、広告代理店が提示した「曲を作ってアピールする」という案が採用となった。

    慢性的な人手不足に悩まされる運送業界。きつさや大変さばかりアピールし、業界のイメージは悪くなる一方だった。

    「皆さんにとって価値ある仕事をしていますよという伝え方が出来ていなかった。荷主向けなのか一般消費者向けなのかポイントが絞れていなかった。今回の企画は、誰に何を伝えるものなのか。そこがぶれないように話し合いを進めてきた」と同社長。

    いつでも欲しい時に手軽に物が手に入る状態が当たり前になってしまった。そこにある、運んでくれる人の努力を感じる人がどのくらいいるだろうか。

    「今の状態だと、この業界がなくなってしまうという危機感をしっかり感じてもらいたい。そのための広報活動を通して、じゃあ俺が支えてやろうかという人が業界に来てくれたらうれしいが、すぐにはなかなか難しい。でも、業界の実態とその価値を知ってもらう努力はしなければならない。そのためには歌が一番効果的だと思った」。こうしてNRSの二人による楽曲が作られた。ドライバーに取材を重ね、彼らの思いを歌に起こした。

    「人が足りないのなら、価値を高めて業界に人を呼ぶのが僕らの仕事」と同社長は言う。人が足りないというのは、今いる人達がどこかで無理をして頑張っているから何とかなっているということ。

    「物流業界の労働者の価値を高めていかないと、今いる人達も辞めてしまう。今以上に人が減ると、日本の物流は止まってしまう。そうならないように、きちんと伝えていく必要がある」と同社長は指摘する。

    だが何より期待する効果は「今まさに頑張っているドライバーが、自らの仕事に誇りを持って続けていけること」だと言う。

    「トラックプライド」でPV制作 福岡運輸 富永泰輔社長

    福岡運輸(福岡市)では、「トラックプライド」を使用したプロモーションビデオ(PV)の制作を進めている。

    「一番の理由は社員に喜んでもらいたいという思い」と話すのは富永泰輔社長。PVでは社員の日常業務を動画で撮影し、編集したものに曲を乗せる。

    「写真を使ったスライドのような物だと、時間もかからずに簡単に出来るかもしれない。でも、やっぱりカッコよく仕上げたい。自分たちの仕事に誇りを持ってもらいたいし、誇るべき仕事をしているんだということを自信に思ってもらいたい」と同社長は語る。

    福ト協のPR動画にも同社のトラックを撮影したシーンが採用されている。「それを見た時、単純にすごく嬉しかった」と同社長。同じように、社員も喜びを感じてくれると話す。その動画全編が、自分の勤務する会社の映像だったらどんなに嬉しいだろうか。その思いが、今回のPV制作の発端だった。

    同社は福岡国際空港のすぐそばに本社を構える。そのため、空港でのテレビ番組のロケでは、社屋が映ることがある。また、社員にすらその場所を明らかにしていないが、同社の企業パネルを、ある駅に設置している。どちらも、目にした社員から嬉しそうに話があると言う。そこにある思いは、紛れもなく愛社精神であり、自身の仕事に対するプライドなのだろう。

    完成したPVは、リクルートでも活用される予定だ。「物流の仕事は、なくてはならない仕事。だからこそ、その仕事に携わる人には誇りを持ってもらいたい。この楽曲ではまさにそのプライドがしっかりと歌詞に歌いこまれている。歌に載せて、トラックドライバー達のその思いを伝えられる内容に仕上げていきたい」と同社長。

    発端は「社員への想い」だが、そこには常に「物流の仕事を正しく理解してもらい、業界のイメージアップを図りたい」という同社長の強い願いが込められている。

    ◎関連リンク→ 公益社団法人福岡県トラック協会

     
     
     
     

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