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物流ニュース
貨物事業法改正案を協議 衆議院国土交通委員会
2018年12月10日
衆議院国土交通委員会が4日に開催され、貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律案が協議された。谷公一委員長は(自民党など)6会派共同により提案された改正案について、趣旨説明を求めた。
国民民主党の津村啓介議員は「運転者不足により重要な社会インフラである物流が滞ってしまうことのないよう、緊急に運転者の労働条件を改善する必要がある」と指摘。「運送の役務対価としての運賃と、それ以外のサービスにかかる料金と区分して収受することを明記すること」「輸送の安全にかかる輸送の順守義務を明記するとともに事業の的確な遂行に関する義務規定を新設することで、事業者が順守するべき事項を明確化すること」「事業者が法令を順守して事業を遂行できるように荷主の配慮義務を新設。既存の荷主勧告制度について、対象の拡大など制度の強化を図る」「法令違反の原因となるおそれのある荷主に対し、国交大臣は荷主の理解を得るために働きかけを行う。さらに荷主への疑いに相当理由がある場合、違反原因の行為を行わないよう要請し、なお改善されない場合は公表を前提とした勧告を行うことができる制度を新設する。国交大臣は適正な原価および適正な利潤を基準とした標準的な運賃を定めることができる」と、改正案について説明した。
国民民主党の小宮山泰子議員は「悪質な事業者を業界から排除することが可能か」と質問。津村議員は「欠格期間を2年から5年に延長。参入規制を厳格化している。欠格期間の延長や欠格事由の新設で悪質事業者が排除されることを期待している」と答えた。
小宮山議員は「運転者の長時間過重労働や対価を伴わない役務の発生について、どのように問題解決するのか」と質問。津村議員は「適正な原価および適正な利潤を基準として国交大臣が標準的な運賃を告示する制度を導入する。これにより立場の弱い事業者が荷主との交渉を進めやすくなる。一定の適正な収入が確保可能となれば、運転者の労働時間の短縮、労働条件の改善に取り組むことができる」と答えた。
日本共産党の宮本岳志議員は「運転者の労働条件を改善するためには過労死ラインを超える長時間労働を認める改善基準告示の見直しと法制化が必要。もっと、政府に強く働きかけるべきではないか」と質問。自由民主党の盛山正仁議員は「この法案が通れば、厚労省を中心にトラック事業の実態を踏まえながら、長時間労働の是正が進むよう改善基準告示の見直しが進められると考えている」と回答。津村議員も「トラック運送事業が日本経済で極めて重要な柱であることを十分に認識し、きめ細やかな議論を進めていきたい」と答えた。
また、宮本議員は「荷主対策には着荷主も含まれるのか」と質問。盛山議員は「トラック運送では発荷主だけでなく着荷主でも荷待ち時間や追加業務が発生することも多い。発荷主や元請けだけでなく、着荷主の理解と協力が重要。着荷主も含めて運用していく」と回答した。
宮本議員は「標準運賃の告示制度の導入は時限措置の間で必ず告示できるのか」と質問。国交省自動車局の奥田哲也局長は「適正な対価を収受できる環境を整えることが重要。標準運賃の具体的な設定については、今後、検討することになるが、条文の趣旨にそって適切に対応していきたい」と回答した。
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