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物流ニュース
少数精鋭で乗り切る 効率化に既存ドライバー
2019年10月25日
アメリカと中国の貿易摩擦により、日本国内にも大きな影響が出ている。特に、鋼材に関しては大幅な落ち込みをみせ、今まで猫の手を借りたいほど鋼材トレーラはフル稼働していたが、現在では需要が低下している。しかし、鋼材トレーラを輸送する運送会社の中には、物量が減少しても、いまだにドライバー不足は続いている会社もあり、物量が減少してもドライバー不足は解消できないといった声も多いようだ。一般の運送会社でも、ドライバー不足は解消されず、既存ドライバーの少数精鋭で、今後を乗り切っていく考えの経営者も少なくないようだ。
大阪市で建設資材などをクレーン付きや平ボディー車両で輸送する運送会社では「今までは、ドライバー確保のために必死になって様々な人材募集媒体などもフルに利用してきた。しかし、約1年の間、成果がないままで推移している。こうした中で、売り上げや仕事の効率化などを見直すきっかけとなる出来事があり、人材を必死になって探すのではなく、輸送の効率化を図るとともに、採算性のない輸送からの撤退を図ることで、ドライバーの賃金や利益率上昇を図ることに方針を変えた」と説明する。
具体的には、荷主の発送する荷物を現場ごとに集約し、配送先ごとに現場で使用される商品の順番を経験のあるドライバーが指示してトラックに積み込む。その後、配送先の現場では、常に配送ドライバーと連絡を取りながら、次の荷物の配送時間などを予測することで、現場での待機などが減少する。さらに現場でトラブルが発生し、当日中に荷物などが下ろせない事態となれば、次の車両の積み込みを見合わせて、別の配送を利用するなどし、現場ドライバーの経験と感を用いて配送台数を大きく変更するという。
大阪府高石市の運送会社でも、ドライバーの突然の退職、病気による欠勤などで、ドライバーの数は不足している。もともと2人で担当していたオイルの配送は、大阪府内のユーザーへの配送では、南北に分かれてそれぞれ配送していた。しかし、1人のドライバーが突然退職したことで、一時は荷主に一部の配送を戻す考えも伝えたが、商品の数と配送地域を見直すことで、ドライバー2人で行っていた配送を1人で行うことにした。不足分については同社の管理者がフォローし、1人のドライバーが単純に1・5人分の配送を行うようだ。
同社は「当初は1人のドライバーへの負担が大きくなるのを恐れて、試験的に行ったところ、半月が経過した頃に、仕事量についてドライバーに聞くと、まったく問題なく配送できるとの意見だった。賃金をプラスして支払うため、この状態での輸送を維持。この結果、ドライバーは賃金が上昇し、さらに労働時間についても大幅には増加しなかったことで、約2か月が経過した現在も、この方法で配送している」と語る。
両社とも、ドライバー不足は予想以上に深刻で、それを、ただ「不足しているので困る」と指をくわえて待つよりも、いかに1人のドライバーが1・2倍、1・5倍の輸送を行えるかを試行錯誤していくことで、人数以上の配送が行える。さらにドライバーに対する還元も大きく、会社にとっても利益上昇につながるため、人手不足から、苦肉の策を見いだしたようだ。
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