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物流ニュース
切れない荷主 従業員との関係も影響?
2019年11月28日
目の前に、今よりも1日5千円から1万円以上運賃の高いトラックの仕事がある。拘束時間は、今の仕事と同等か、それ以下。契約時間外に業務がずれ込んだときの単価も明確に定められるなど、運賃以外の条件もそろっている。それでも今の契約から、あえて抜け出さない、抜け出すことができないーー。
「働き方改革」に伴う荷主との運賃・取引条件の交渉に弾みもつき、「荷主との交渉は、もはや引き返すことのない片道切符」との認識を持つトラック事業者も多いなか、「切符」すら手にしようとしないかに見えるトラック事業者が散見される。
荷主に対して昨年から再三の値上げ交渉を続けてきた、近畿地方のトラック事業者。だが、荷主からの返事はなしのつぶてで、「それらしい話をしたのは担当者との立ち話が一度だけ。値上げができないとの返事もない」。中途半端な状態が続く。
高圧ガスメーカーの荷主との取引は数十年に及び、トラックも複数台が常傭で入っている。そうした深い関係を無視するかのような無回答の姿勢の荷主に対してなお、事業者は三くだり半をいまだ突きつけないでいる。
事業者は、「荷主と縁を切っても仕事はいくらでもある。しかし、この荷主の仕事はもはや、キープだから」。淡々とした事業者の説明は、その仕事が「ある意味」、なくてはならないものということを物語っている。
継続雇用の乗務員と減価償却済みトラックが、その意味を物語るキーワードのようだ。両者を組み合わせてトラックを運行させる場合、原価を抑えられるため運賃も比較的安くすることが可能だ。また、継続雇用中の高齢乗務員に新たな仕事に就かせる煩わしさがない、といった側面もあるという。
4トンパワーゲート車十数台で1つの荷主から店舗配送業務を請け負う、別のトラック事業者。協力会社からも数台のトラックを調達している。1台あたりの運賃は、10時間拘束で2万5千円。同様の条件で数年来請け負ってきた。
既存資産の売却などで切り盛りしてきたものの、燃料価格や労務費上昇などに堪えられず、荷主と交渉を重ねた。結果、「値上げは無理」とにべもなく断られた。
その後、事業者が知り合いを通じて得た情報が、「1台あたりの運賃が1日3万円から3万5千円以上にもなる」という仕事の存在だった。現状より5千円から1万円程度高い運賃水準だ。
それでも事業者は動かなかった。事業者によると、「荷主との約定では、解約は3か月前と規定されている」ことが主な要因だという。また、「乗務員も、早帰りのある、ぬるい今の仕事に甘んじている」こともあったという。
ひるがえって、既存荷主も含めた複数の荷主との、ここ数年の交渉で、運賃・条件面で実績を上げている事業者は、「運賃を上げていくという意味でも、今ほど乗務員、従業員とコミュニケーションが大事な時期はない」
「機嫌よく乗務員に『お疲れさん』『どうしたんだ』と声掛けできるのは、社長自身が儲かっているから。儲けさせてもらっているから」と話し、乗務員との関係が好循環をもたらしている様子に言及した。
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僕は福山通運で働いてますが
残業しても生産性手当てや職能給で調整され
ちゃんとした給料がもらえません。
都会だとそういうのはないかもしれませんが
北海道で働いてますが北海道は田舎と言う扱いで
しっかりした手当て等がつきません
是非調査して記事を書いて欲しいです。