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射界
2018年12月3日号 射界
2018年12月10日
三日月に向かって「我に七難八苦を賜り給え」と祈った山中鹿之介(戦国末期の武将)は、あえて苦難に身を投げかけて心身鍛錬に励んだという。苦難に満ちた競争社会の現在、三日月に祈るまでもなく、数多い苦難の波に翻弄されて暮らしているのが現実。その中で生きるため教訓を学んでいる。
▲浮世で暮らす以上、予期しないピンチと遭遇することは数多い。万一、ピンチに遭遇すれば、早く抜け出そうと努力する。最初はまず、ピンチと闘う姿勢を整えるが「効果なし」と悟れば、次に耐える道を選ぶだろう。それにも限界があって耐える力が弱まれば絶望感に取り付かれる。こんな経過を経てマイナス思考はスパイラル状態に陥って、自滅の道へと進む。
▲一方、ピンチは人を能動的にかきたてる力も持っている。鹿之介の願いは、ここにあるようで、精神的な励ましの声を期待しながら、自らを奮い立たせていると理解できる。〝火事場のバカ力〟とまでは言わないが、自分でもびっくりする力を見せるから驚きだ。苦しみが大きければ大きいほど反発力も大きい。「ピンチの後の強い自分」にきっと気付くだろう。
▲「オレって、ついていないなあ」と運のなさを嘆く声も耳に届くが、ピンチの原因を他に求めるようでは、その人の成功は期待できない。成功するもピンチを味わうのも、その原因は自らにあるという謙虚さが大切だ。運のなさを嘆く前に自分の努力不足を認識すべしである。それだけでも同じピンチを再び招かない糧になる。ピンチの後の強い自分を目指そう。
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