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射界
2020年6月1日号 射界
2020年6月15日
6月のことを水無月という。梅雨の季節になろうというころだが、旧暦と考えても梅雨の最中であることも多い。東雅では「梅雨が終わり水が枯れる」から名づけられたというが、田植えがすみ、田に水をたたえているから「水月」(和訓栞)と考えることもある。また、「カミナリ月」を略しているというのは「語意考」。
▲田植えが終わり、「みなしつくした」という「みなし月」が誤って伝えられたという「奥儀抄」の指摘も納得がいく。田植えが終われば、梅雨の季節。梅雨は「さみだれ」ともいう。「みだれ」は水垂れ(雨)の意。「さ」は「五月」と言われるが「米・稲」のこと。サンスクリット語で米のことを「サル」という。漢字で書けば「舎利」となり、銀舎利は米の飯となる。
▲梅雨の季節は田畑に恵みを与えてくれるが、一転して災いのタネとなる。台風などの大雨がそれだが、台風の語源は「タイフーン」であるとされ、ギリシア語やアラビア語ではないかと言われている。ギリシアでは「熱気や湯気をはらんで湧き立つ現象」を「テューポーン(テューポース)」という怪物になぞらえ、台風を連想したという。
▲雨だけに限らず、多くのものは二面性を持つ。「人間万事、塞翁が馬」ということだろう。幸運と不運は「表裏一体」であり、あざなえる縄の如し。縄は表に見えるところでも、裏に回ることもある。ここで人間というのは「この世の中」ということ。しかし、一つの幸運や不運に一喜一憂するのが私たち凡人の常。しばらくは、幸運・不運に振り回されそうだ。
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