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ブログ・小山 雅敬
195回:運送会社における賞与の支払い方
2020年11月10日
【質問】コロナショックによる業績悪化で、今年の夏の賞与は減額して支給しましたが、冬の賞与はさらに厳しい状況になりそうです。運送会社における賞与の支払い方や注意すべきポイントがあれば教えてください。
今年は年明けからの経済活動の停滞により、夏の賞与を減額した運送会社が多く見られましたが、減額幅は、おおむね1〜2割程度にとどまり、半減や支給停止にまで至った会社は少数でした。しかし、次の冬の賞与は、コロナの影響が全面的に業績に反映されるため、相当厳しい状況になるでしょう。
運送会社の賞与額は、企業規模により大きな格差が見られます。中堅以上の大企業は、1回あたり賞与額が20〜30万円以上、一般的な中小運送会社は、1回5〜15万円程度、零細企業はゼロ〜寸志程度がよく見られる金額です。今年は取扱貨物により、コロナの影響度に大きなばらつきが見られ、賞与の減額幅にも反映されています。
そもそも各運送会社は、どのようにして個人別の賞与額を決めているのでしょうか。会社の規模や平均賞与額により、賞与の決め方は変わります。例えば、賞与評価の項目数で見ると、おおむね賞与平均額により、適正な評価項目数のめどが決まります。
例えば、1回あたり平均10万円未満の賞与を支給する会社の評価項目数は3項目以内が適正であり、1回あたり10万円以上30万円未満の賞与額であれば、評価項目数は4〜5項目程度が最適です。1回平均30万円以上の高額な賞与を支給する場合は、評価項目数を6〜8項目程度設定すると効率良く機能します。
この適正項目数を無視し、評価項目は多いほど良いと考えて煩雑な評価表を作成している会社は、評価表自体がわかりにくく形骸化しています。中小企業A社が1人平均10万円程度の賞与を支給したい場合、例えば、賞与基本額を5万円に設定し、①無事故加算3万円②勤怠加算(無断欠勤・遅刻なし)1万円③デジタコ評価加算(例=95点以上)1万円とした場合、全てクリアして支給基準額の10万円になります。さらに無事故継続年数×2000円を加算、もしくは保有資格による加算、などを考慮すれば、やる気を喚起できます。客観的で納得性があり、シンプルな項目がベストです。
最後に、賃金規程の注意点を挙げます。次の3点が明記されているかをチェックしてください。①賞与の金額は会社の業績により都度判断する②賞与支給日に在籍している社員のみを支給対象とする③会社の業績により、賞与支払日を変更もしくは支給しないことがある。
(コヤマ経営代表 中小企業診断士・日本物流学会会員・小山雅敬)
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筆者紹介
小山 雅敬
コヤマ経営
昭和53年大阪大学経済学部卒業
都市銀行入行。事業調査部、中小企業事業団派遣、シンクタンク業務に従事。
平成4年三井住友海上入社。中堅中小企業を中心に経営アドバイス、セミナー等を多数実施。
中小企業診断士、証券アナリスト、日本物流学会正会員 等資格保有。 -
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