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ブログ・小山 雅敬
202回:運送会社が服務規程に追加記載すべき内容とは
2021年3月2日
【質問】現在、服務規程の条文の見直しを行っています。運送会社の最近のトラブル事例から、服務規程の中に追加で盛り込むべき内容がありましたら教えてください。
服務規律は就業規則の中に記載する方法と、服務規律の内容を抜き出して「服務規程」として別冊にする方法があり、いずれでも結構ですが、運送会社では遵守すべき事項が多いため、別冊にしている会社が多く見られます。
服務規程の一般的な内容は、市販の雛形に記載されていますので、ここでは運送会社の最近のトラブル事例をもとに、条文に追加すべき内容の一部を列挙してみます。
①「社内外を問わず、酒気帯び運転、あおり運転などを禁止する」—酒気帯び運転の記載はよく見ますが、あおり運転は未記載の会社が多いです。また運送会社の業務の性質から、勤務外でも禁止の旨を明記したほうが良いでしょう。なお、懲戒基準の中にも入れてください。
②「日報、チャート紙、その他の会社管理書類を勝手にコピー、撮影、持ち出しなどしてはならない」—日報などの乗務記録には荷主の社名や発地(荷主)、着地(着荷主)、積み荷などの記載があり、荷主の取引が類推できる営業上の機密管理書類です。会社の許可なく勝手にコピーして外部に持ち出されては困ります。最近、勝手な持ち出しによる労使トラブルが、後を絶ちません。
③「デジタコのボタン押しを指示通りに行い、日報を正確に記載しなければならない」—労働時間管理をデジタコで行う会社が増える一方、ドライバーによる正確なボタン押しが行われておらず、休憩時間などの把握が困難な会社がよく見られます。ボタン押しを社内ルールとして徹底し、注意しても指示に従わない場合は懲戒対象になる旨を周知するとよいでしょう。
④「配車係の指示を無視、または拒否してはならない」—これは実例としてよくあるトラブルです。ドライバーが早朝の出庫指示時間を守らず、拘束時間が一向に縮まらない会社、ドライバーが荷を選ぶために配車効率が上がらない会社、などが見られます。
⑤「パワハラ、セクハラ、マタハラなどあらゆるハラスメント行為を禁止する」—最近はテレハラ(テレワークに伴うハラスメント)、コロハラ(コロナに伴うハラスメント)など新種のハラスメントが続々と発生しており、防止対策を行う必要があります。
以上、服務規程に追加すべき項目例の一部ですが、整備した後は、その規程を研修用資料として使い、全員に周知徹底してください。
(コヤマ経営代表 中小企業診断士・日本物流学会会員・小山雅敬)
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筆者紹介
小山 雅敬
コヤマ経営
昭和53年大阪大学経済学部卒業
都市銀行入行。事業調査部、中小企業事業団派遣、シンクタンク業務に従事。
平成4年三井住友海上入社。中堅中小企業を中心に経営アドバイス、セミナー等を多数実施。
中小企業診断士、証券アナリスト、日本物流学会正会員 等資格保有。 -
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