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ブログ・川﨑 依邦
経営再生物語(357)リーダーシップについて(2)―1
2021年11月15日
社員10人ぐらいの社長が私にしみじみと相談をもちこまれた。如何にして人を集め、定着させるかというものである。
社長「私のところは、社員10人ぐらいの家具小売店です。2店舗です。最近商品管理部門のベテランが辞めて、配達に支障をきたしています。そのうえ、10年も勤めてくれた販売スタッフが辞めました。日曜日や祝日に働くのが苦痛だというのです。あと二人ほど辞めたいと退職の申し出があります。このままでは、人手不足で店を閉めるしかありません。
一年前に本店をリニューアルしたりして、かなりの借金もあるので店を閉めるということは、私の首をしめることになります。どうやって人を集めたらいいでしょうか。ここ2ヵ月、募集のチラシを4回もうちましたが、反応が鈍いのです。電話があっても、給与や労働条件を説明するとプッツン。本当にどうしたらいいか、悩んでいます」
この社長の相談は深刻である。一般的に小企業は、人が集まりにくくなっている。週休2日制や給与水準といった労働条件では、大企業と比べるまでもなく悪い。しかも企業イメージやさまざまな福利厚生面でも立ち遅れている。
この社長のところの経営状態では、給与水準を大幅にアップして大手流通業や百貨店並みにはできない。休みについては、人手が足りないので、週休二日制は夢のまた夢である。
私「社長、そんなに悲観することはないですよ。どこでも似たようなものです。まず第一は、社長のやる気・執念です。必死に真摯に念じ続ければ何とかなりますよ。そして、人集めのために考えられるすべてを繰り返してチャレンジしてください」
私としてはこのようにまず精神の姿勢を正す必要性を説いた。
内心では、小企業の経営者にとって人を引き付けるものは何か自問していた。給与や休みといった労働条件は良くしようとしても、この社長のところのように現段階では難しい。
従って、経営者にとっては自らの人間性を豊かにして、働いている一人ひとりに親しみと安心感、この人についていけば何とかなるとの想いを育ませねばならない。こうした気持ちを育むものは、経営者の使命感である。 (つづく)
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筆者紹介
川﨑 依邦
経営コンサルタント
早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。
株式会社シーエムオー
http://www.cmo-co.com -
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