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    未払い残業問題 法律問題になると経営側は負け…

    2011年2月25日

     
     
     

     運送業界でも大きな問題となっている未払い残業代問題について、前田尚一法律事務所(札幌市中央区)の前田尚一弁護士は「今後ますます増加していく」と断言する。サービス残業は昔からどこでも見られた問題だ。経済が右肩上がりの時代では、それほど大きな問題とはならなかったが、前田氏は「平成に入って労使関係が悪化し、なあなあで済まなくなり表面化した。従業員は稼げなくなって権利を主張するようになった」と語る。
     それに加え、06年頃から始まった消費者金融などへの過払い金返還請求事案が飽和しつつあるため、「法律家が次のビジネスとして未払い残業代に注目している」ことが拍車をかけた。


     ほとんどの企業に関連する問題なので影響は大きく、ビジネスのターゲットにされやすい。多くの弁護士・司法書士がこちらに流れており、同じ弁護士がこの問題について、経営者向けと労働者向けに対策セミナーをやっているケースもあるという。
     「残業代を支払わないことに同意していた」「基本給や各種手当に残業代が含まれている」「歩合給を支払っている」「管理監督者である」「時間外に仕事をするように命じていない」「勤務時間中でも休憩していて仕事はしていない」といったことは「全て経営者の弁解にはならない」と前田氏。
     「労働事件は多くの場合、法律問題になった時点で既に経営者は負けている。これに労働組合が介入してくると、問題が拡大する。経営者は団体交渉を拒否できず、組合は決算書の提出など経営者が嫌がることをよく知っている。紛争がおこったら負けと知っておくべきだ」と強調する。
     前田氏は「辞めた人間が金を取れると知識を得て、他の人間に声をかけて急に請求してくることも十分ある。仮に月給30万円の従業員が1日1時間の残業代を時効いっぱいの2年分請求すると、割増分、損害金、付加金で100万円程度になる。数十人が一度に請求すると数千万円にもなり、経営を脅かす事態になりかねない。多くの企業が潜在的にこのような危険な状況にある」と指摘する。
     では、労働時間が長く、不規則になりがちな運送業界は、どのような対応をすべきか。
     「どのような手法をとっても本来、サービス残業はなくならない。年俸制、歩合制、手当といった形にしても厳密にいえばアウト。最近の判例では、みなし労働時間や本当の管理職でも割増賃金の請求が可能となっている。やはり基本は法定労働時間。賃金体系のグレーな部分を、会社の事情を踏まえて将来に向けて、行きつ戻りつしながらでも合法なものに変えていくしかない」

     
     
     
     

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