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    万一の事業停止に「利用」設立は有効?会社を守る苦肉の策か

    2011年5月20日

     
     
     

     運輸当局による行政処分の厳格化にともない、事業停止という最悪の場合を想定して「取扱専業」の別会社を設立しようと検討するトラック事業者が増えている。事業停止の処分を受けると自社トラックが動かせないだけでなく、傭車の手配など取扱業務も含めた全業務をストップしなければならないため、あらかじめ「トラックを持たない別法人」を作っておこうというわけだ。ただ、一方では「取扱専業者(利用運送)が事業停止になったという話を聞いたことがないが、それならトラック事業者も実運送の部分だけを処分すればいいのではないか。わざわざ別会社を作る必要はなくなる」(岡山市の運送会社)との声もある。実際のところは、どう理解すればいいのだろうか。


     運輸当局の担当官によれば、「まず理解してもらいたいのは、トラック事業者が事業計画のなかで『やる・やらない』を選択する格好の利用運送と、平成15年からは登録制へと緩和された第1種利用運送は別の法律に基づく『異なる事業』であるということ」と説明。運送免許の時代に実運送と取扱事業を別々に取得していたトラック事業者であったとしても、法改正によって同15年から両者は切り離すことができない一つの事業許可になっている。
     そのため、もし事業停止の処分を受けた場合も双方の事業は一心同体で、実運送だけでなく車両手配も含めた一切の業務ができなくなる。一方、利用運送の別会社を設立しようとする動きが目立つようになった背景には「取扱専業者が事業停止の処分を受けたという話を聞いたことがない」(福山市の運送社長)という事情がある。姫路市の運送社長も「運賃決定も含めて運送実務の多くに関わっているにもかかわらず、トラックを保有していないことで処分されないという現状に矛盾を感じるが、万一を考えればウチも別会社の設立を考えないといけないと感じる」と話す。
     こうした現場の声について、前出の担当官は「(利用運送事業者にも)貨物利用運送事業法によって事業停止や、登録の取り消し処分などが同様に規定されている」と説明。ただ、担当官が在籍する地方運輸局の管内では「そうした処分は、これまでに前例がない」(同)というのも現実だ。
     こうした事情がトラック事業者を「別会社」の設立へと動かしているともいえる。なかには新しく実運送の会社を立ち上げて全車両を移し、従来の会社を取扱専業に切り替えようとするケースも見られる。
     「名前の通った現在の会社が行政処分で影響を受けないようにするため」と考えた約40台のトラックを保有する広島市の運送会社もその一つだったが、「現在の会社のトラックがゼロになれば『5台割れ』として行政処分の対象になるといわれた」と社長。実運送と取扱事業が切り離せなくなった同15年の法改正が影響してくるためだ。
     結局は「万一の場合に会社を守るには、苦肉の策として利用運送の新会社設立を考えるしかないのだろうか」と岡山市の社長。トラック事業者を縛り上げる材料が増える一方の行政処分の現場だが、ちなみに「実運送の会社が事業計画のなかで届けている利用運送では、トラックを持った事業者間でしか仕事のやり取りは認められないが、その辺りのこともゴチャ混ぜになって十分に理解されていない」(担当官)と指摘する声もある。

     
     
     
     

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