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物流ニュース
タケウチ商事 BDFでコスト減、精製プラントを自社開発
2011年7月12日
食品輸送を手がけるタケウチ商事(竹内順三社長、岐阜県各務原市)はBDF(バイオディーゼル燃料)精製プラントを自社開発、今夏から同業他社に向けて販売を開始する。自社トラック向けには、5年程前から精製を行っており、100%BDF(B100)として使用。
B5軽油と違って軽油引取税が免税となることから、環境だけでなく、コスト面でも大きなメリットを生み出している。竹内社長は「プラントを導入しBDFを使用する事業者が増えれば、原料となる廃食油などの仕入れでスケールメリットが出て、更なるコストダウンが図れる」と話している。
同社が製造、使用しているのは7時間で1klを精製できるプラント。手動式で、廃食油から精製する際のロスは約10%と、自動式よりも少ないのが特徴。愛知県丹羽郡大口町にあるプラントでは、常駐スタッフ一人で作業にあたっている。維持費は、プラントの電気代は月6万円、水道代は2万円程度だという。原料となる廃食油は食品会社など独自のルートを開拓した。
トラック事業者がプラントを開発・製造するのは異例だが、「売ったら終わりの専業メーカーと違い、エンドユーザーの立場に立って、導入後も原料の調達から使用方法までを一貫してコンサルティングできる」と竹内氏はメリットを説明。今後はユーザー同士で共同体を組織し、原料油や添加剤の仕入れなどのスケールメリットを発揮したい考え。また、マレーシアやインドネシア、ロシア極東地域などで原料油を生産するための大規模農園の運営も視野に入れる。
販売予定価格は3300万円で、保管、作業スペースを含めると、約450平方mの広さがあれば導入が可能だという。
同社では、月間40klを製造し、コンビニ向け配送車など全42台の大半で使用している。2月時点での人件費や光熱費を含んだ製造コストは1L当たり49円。軽油価格を105円すると、同量単位で50円以上の差益が発生する。月間の使用量に換算すると差益は224万円に上る。廃食油も軽油と同様に需給バランスによって価格変動が起こるが、竹内氏によると「タイムラグがあるものの、軽油価格にほぼ連動しており、価格差は変わらない」としている。品質については、コンビニ配送のシビアな使用環境でも、大きな車両トラブルは発生していないという。
同社がBDF事業への参入を決めたのは8年前。トラックの塗装や整備などの「内製化」を進めていた最中で、「次は燃料」と的を絞った。数多くの関連書籍を読み、松江市などのBDF先進地域を訪問するなどして研究を重ねた。現在のプラントは海外から輸入した部品を改良し、組み合わせながら作り上げたもの。
竹内氏は「製造販売と同時進行で今後も研究開発を継続し、海外から遅れをとっている日本のBDF事業を発展させたい」と話している。
◎関連リンク→ タケウチ商事株式会社この記事へのコメント
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