-
物流ニュース
早急に望まれる完全自動点呼
2023年8月30日
中小トラック運送事業者における輸送の安全確保の根幹を成す運行管理について、安全性の向上、労働環境の改善、人手不足の解消等に資するため、自動点呼にかかる支援機器およびシステム等の普及促進を図ることを目的に、全ト協が行った「点呼支援機器等導入促進助成事業」では、令和3年度が34台、同4年度が25件と申請件数は少なく、点呼支援機器の導入はまだ進んでいないようだ。
令和4年度までの点呼支援機器等導入促進助成事業については、全ト協(助成額10万円)のほか、地方のト協では、それぞれに助成額が異なり、行っていないところもあった。AIロボット点呼機器「ユニボ」を販売している日貨協連では割引キャンペーンを行うこともある。
点呼支援機器等導入促進助成事業を行った全ト協では「思っていたほど申請は多くはなかった」としながらも、「乗務後自動点呼が正式に認められたのが今年になってからなので、おそらく、様子を見ているのではないかと思われる」
「今後、乗務前自動点呼も認められるようになるということなので、それまで待とうと考えている事業者もかなりいるようで、制度がしっかりと出来上がれば、申請が増えると思われる」とし、「令和5年度は乗務後自動点呼で少し増えるのではないか」と考えている。
実際に、ロボット点呼機器導入について様子を見ている事業者は多く、中には、「今ある点呼機器やシステムでは駄目なのか、AIロボット点呼機器『ユニボ』と何が違うのか」と、機器についての理解も広まっていないことも原因となっているようだ。
乗務後自動点呼の機器に認定されているAIロボット点呼機器「ユニボ」について、ナブアシスト(江口大介社長、群馬県前橋市)は「当社の機器で認定を受けているのは、『点呼+(プラス)ロボット版』と『点呼+デスクトップ版』の2機種になります」
「『点呼+ロボット版』とは『ユニボ』のことで、性能面では『点呼+デスクトップ版』と同じですが、『ユニボ』は機器に馴染みやすく、親しみやすくするためにロボットの形にしています」
なお、国交省が求めている高度な点呼は、点呼の確実性や、ドライバーに間違いなく点呼をやってもらえるかどうかということであるため、乗務後自動点呼実施要領で定める要件を満たした機器が、乗務後自動点呼の認定機器となる。
自動点呼機器の要件には、「乗務後自動点呼に用いられる自動点呼機器は、乗務後点呼に必要な事項の確認、判断および記録を実施できる機能を有するものであること」「点呼の実施状況および実施結果を確認できる機能を備えていること」など。
乗車後点呼では、帰ってきたドライバーが間違いなく点呼をしたかということを記録まで残せるかどうかが一番のポイントになってくるので、そういった機能を盛り込むということが要件となっている。
ナブアシストでは「事業者が使っている点呼機器やソフトで認定されていないものは、乗車後自動点呼では使えませんが、そこに当社のソフトウェアをインストールしていただければ使うことは可能になります」「ただし、これまで使っていた周辺機器と当社のソフトが連携しなければ、当社のソフトに連携する周辺機器などに変えなければ使えません」
乗務前自動点呼の導入に向け、国交省では、乗務前自動点呼における実証実験の開始。導入開始期限は現時点で未定だが、できる限り早く導入できるように取り組んでいくとしている。
人材不足の状況で事業者にとって点呼業務は大きな負担となるが、乗車後においては自動点呼が可能となり、負担軽減に一定の効果は見られている。ただ、乗務後という条件付きでは無く、早い段階で運行前から全て自動点呼でできるようになることが期待される。関連記事
-
-
-
-
「物流ニュース」の 月別記事一覧
-
「物流ニュース」の新着記事
-
物流メルマガ