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物流ニュース
若者遠ざける業界イメージ 採用時の取り組みで払拭
2016年5月10日
運送業界への悪印象は、まだまだ根強く残っている。運送事業は危険、拘束時間が長いといった悪いイメージが付きまといがちだが、未経験者雇用、または雇用定着を狙う際には、こうしたイメージが障害となることもある。求職者本人が乗り気でも、その家族から反対を受け、やむなく入社を辞退したというケースも出ている。
名古屋市の危険物運搬を請け負う事業者は昨年、求職者の親から反対を受け、若手を逃したという。人事担当者は「大学を卒業した若手が入ってくると期待していた。我々の業界を志してくれたのに非常に残念だ」と苦い表情を浮かべる。
同市中川区に拠点をもつ事業者は「ト協でのポスターによるPR活動などがあり、業界の認知度も、やや向上しているように感じるが、それでもクリーンなイメージにはほど遠い。業界一丸となって、安全教育や労働環境の改善を続け、印象の良い環境や人材を育てていくことが必要」と主張する。荷主に対しても、安全な環境下で運転者が働ける適正な運賃を理解してもらう必要があると訴える。また同事業者は運転者の採用についても「拘束時間や事故後の処遇などの労働環境を説明しないまま、面接した次の日から働かせる環境がおかしい」とし、「そういった行為の積み重ねが運転者の不満、ひいては労使トラブルに発展し、余計に印象を悪くしている」と指摘する。
建交労愛知本部の谷藤賢治書記長は、若手人材が不足している現状に対し、「若手が入ってこない理由は免許の不所持だけが原因ではない。労働時間や給与制度などの不透明性が未経験者を遠ざけている。業界内でも自浄作用を働かせていかないと、行政が環境改善に意欲を見せても愛想を尽かされてしまう」と指摘する。
こうした厳しいイメージを払拭するために、採用時に採用者の家族を巻き込んだ取り組みを行う事業者もでている。
未経験者雇用に関して強いノウハウを持つカワキタエクスプレス(三重県亀山市)の川北辰実社長は、未経験者雇用の際には面接後に、求職者本人が家族へ仕事内容の説明をするように制度付けているという。川北社長は「入ってもらったからには一生面倒を見るつもりでいる。入社前の準備にも十分に力を入れ、万全の準備体制で挑むようにしている」と話している。事実、こうしたプロセスを経て入社した運転者は離職率が非常に低いという。
ドライバー不足が叫ばれている今だからこそ、人材に対し真摯な対応を取ることが業界イメージ向上の一助となるのかもしれない。この記事へのコメント
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