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なくならない「労災かくし」企業名公表も・・・「荷主からの評判を下げたくない」
2026年4月20日New!!
トラック適正化二法の成立により実施されることが決まった事業許可の「5年更新制」。詳細はいまのところはっきりしていないが、法令順守はもちろん安全体制が不十分な会社は更新できず淘汰されるものと思われる。業界をよりよくするために守るべきものは守るのが当然だが、一方で、なかなかなくならない違法行為も少なくない。「労災かくし」もその一つ。たとえ「つい、うっかり」でも、悪質とみなされ刑事罰や社会的信用の失墜など大きなリスクを背負う可能性があるから注意が必要だ。

労働災害(仕事中や通勤中のケガ・病気)が発生した際、会社には「労働者死傷病報告」を労基署に提出する義務がある。この報告を故意に行わなかったり、虚偽の内容を報告したりすることを「労災かくし」と呼ぶ。そして、荷役作業中の転落や交通事故など、労働災害のリスクが高いトラック運送業は比較的労災かくしが起きやすい業界とも言われている。
なぜ労災かくしをするのか。考えられるのが、労災が発生することで荷主から「安全管理が不十分」とみなされ、契約を切られることを恐れるといった「会社の評判を下げたくない」ことが挙げられる。さらに、重大な労災が発生すると行政処分が下る可能性があることや、労働者数100人以上など一定規模以上の事業所では、労災発生数に応じて労災保険料が増減するため、コスト増を懸念して隠そうとする事業者もあるようだ。
厚労省や各労働局では、労災かくしの事例を公表しており、そのなかには運送事業者によるものも含まれる。山梨労働局が公表している労災かくし事件の送検事例では、「貨物自動車の荷台上において、労働者Aは、荷物の結束作業を行っていたところ、荷台から墜落して左恥骨骨折等を負った。Aは4日以上休業したが、事業者は、遅滞なく、労働者死傷病報告を所轄労基署長に提出しなかった」。また、愛知労働局でも「運送業の事業場において、ヤードで作業をしていた労働者がバックしたフォークリフトと接触し3か月間の休業を要することとなったにもかかわらず、遅滞なく、所轄の労基署長に災害発生状況を記載した労働者死傷病報告を届け出なかった」といった運送事業者による事例を挙げている。
労災かくしが発覚するとどうなるか。刑事罰として労働安全衛生法第120条、第122条により50万円以下の罰金が科され、企業だけでなく、代表者や現場責任者などの個人も罰則の対象となる可能性がある。さらに、罰金以上に企業にとってダメージが大きいのが厚労省による企業名の公表だ。同省では平成28年、過労死等ゼロを目指す取り組みの強化の一つとして、労働基準関係法令違反の疑いで送検された企業名や所在地などを同省・都道府県労働局のHPに掲載することを決定。「労災かくし」事案も掲載されており、掲載期間はおおむね1年間で、令和7年分も1月30日から掲載されている。

労災かくしは、不審に思った医療機関や労働者本人、家族による通報で発覚することが多いとされている。
さまざまな労災職業病の被害者とその家族の相談に応じている全国労働安全衛生センター連絡会議(東京都江東区)では、「会社が労災認定してくれず困っているといった相談は多く受けている」(事務局)としており、「たとえ会社が動かなくても本人だけで労基署に申請することはできるので、相談者にはそうしたことを伝え、『労災かくし』を起こさせないよう後押しさせていただいている」と話す。
同連絡会議では、「労災制度は労働者にとってきわめて基本的な問題であるにもかかわらず、労災かくしは一向に減らない。労災かくしにより、被災労働者は治療や補償上の権利を大きく侵害される。決して泣き寝入りせず、法律上の権利を知り、しっかり対処することが大切」などと説明し、撲滅に向けた取り組みを続けている。
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僕も職場で労災隠しを3回もされてしまった。ウンザリだ…労基署で認定されたが会社は認めていない立場だ。
しかし労基署からは何のお咎めも無かったようだよ…こんな事じゃぁ労災隠しは無くなるハズがない…民事の損害賠償請求で決着をつける。
刑事罰ある話でも労基署の役人が忙しい上に不慣れで検察に出す書類の書き方を知らないらしいしなあ。