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ブログ・野口 誠一
第19回:倒産の前触れ第14条/経営者が自分一人で取引を始めたとき
2004年3月1日
倒産の前ぶれ15ヶ条の第14条は『経営者が自分ひとりで取引をはじめたとき』である。
これは経営者の変化のなかでも要注意と言っていい。たしかに、トップ・セールスは経営者の重要な仕事の一つだが、普段はそんなことに無頓着なのに、いきなり始めたり、あるいは隠れて始めたりしたときは危険である。
なぜなら、そうした変化の裏には、変化せざるを得ない事情が潜んでいるからである。
その一つが業績の悪化である。経営者にとって業績の悪化は実にこたえる。ましてそれが長く続くとなれば、居ても立ってもいられない。そこでつい焦り、余計なことや不慣れなことに手を出してしまうというパターンである。
しかし、焦って始める取引にろくなものはない。新規の取引であればあるほど、綿密なリサーチと冷静な判断を要するのに、焦っていてはそれができない。結果、失敗して倒産を早めるのがオチであろう。
経営者が単独取引するもう一つの背景は、いわゆる「うまい話」にのるケースである。
これが実に危ない。経営者の周りは誘惑だらけと言っていい。少しでも心にスキをつくると、そこを目がけて、ありとあらゆる「いい話」や「儲け話」が舞い込む。うっかりそれにのったが最後、大やけどを負いかねない。いい話や儲け話がそんなにごろごろ転がっているわけがないのである。それは、その話を持ってきた人にとってのいい話であり、儲け話であるにすぎない。そこを見抜けず倒産に追い込まれた例は、わが会員のなかにも枚挙にいとまがない。
これほどさように経営者の単独取引は危険であり、注意を要する。
たとえば、従来は課長や部長クラスで商談が成立していたのに、わざわざ取引先の社長が出てくるようになったら、気をつけたい。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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