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ブログ・野口 誠一
第32回:倒産の原因第1位/経営者の高慢・経営能力の過信
2004年4月11日
さて、いよいよ「倒産の原因ワースト10」の最後である。
ワースト・ワンになったのは「経営者の高慢・経営能力の過信」である。
私は常々、「高慢は立派な心の病であり、この病気にかかったが最期、経営者は倒産を免れない」と言っている。この高慢病は、本人にその自覚がないだけに実に厄介である。
しかし、はたから見ればその症状は一目瞭然である。まず、視野が狭くなっていく。次に、自分に甘く、他人に厳しくなっていく。そして、苦言や忠告が耳に入らず、甘言や追従にのせられていく。やがて、心の中から謙虚や感謝が追い出され、傲岸と不遜がどっかと居座る。ここまでくると、倒産はもう時間の問題と言っていい。
この恐ろしい病気を予防するには、2つの方法しかない。
1つは、毎日「自分は高慢に陥っていないか」を自問自答し、反省という予防注射をうち続けることである。もう1つは、常日頃から忠告してくれる師匠、先輩、友人を作っておくことである。
松下幸之助氏は自分のポケットマネーで「苦言係」を雇っていたというが、そのぐらいでないと成功はおぼつかない。高慢病は成功途上の経営者を襲う病気なのだから。
一方、成功途上の経営者を襲う点では、過信も怖い病気の一つである。経営者が自分の経営能力を過信しはじめたら、倒産が近づいたと思ったほうがいい。なぜなら、過信と高慢の距離は、ほんの一歩にすぎないからである。ただ、この過信も業績が順調なときに襲ってくるだけに始末が悪い。
経営者に限らず、人は誰しも過信したところで成長が止まる。過信がその人の耳に「もはや学ぶことはない」とささやくからである。そのささやきに耳を貸すか、「いや、まだまだ」と押し返すかで道が2つに分かれる。
1つは倒産への道、もう1つが発展への道である。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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