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ブログ・野口 誠一
第43回:倒産者に共通する性格第9条・良いときと悪いときの落差が激しい
2004年5月15日
倒産者に共通する性格の第9条は、「良いときと悪いときの落差が激しい」ことである。中小企業の経営者は多かれ少なかれ、業績の良いときは恵比須顔、悪いときは閻魔顔、というのが通り相場であろう。が、その落差が激しすぎては、経営上もマイナスが大きい。
第1のマイナスは、社員・従業員が経営者の顔色を見て行動するようになることである。これは会社内に面従腹背のムードをはびこらせ、大きな戦力ダウンを招く。全社一丸となっても生き残れるかどうかのこの時代に、このマイナスは大きい。
第2のマイナスは、取引先やライバルに顔色を読まれ、それを逆手に取られかねないことである。恵比須顔のときは、取引先も価格交渉や数量交渉がしやすいし、ライバルは一段と対抗心を燃やすに違いない。逆に閻魔顔のときは「危ないのでは…」と察知、あるいは誤解され、数量制限や手形から現金取引への移行など、取引条件を厳しくされかねない。ライバルもまた、このときとばかりに危険情報を流して足を引っ張るに違いない。
このように、良いときと悪いときの落差が厳しい経営者は、ただそれだけで、大事な自社の経営情報をタレ流しているようなものである。そのマイナスと危険は、一歩間違えば倒産にも直結しかねない。そこを避ける方法はただ一つ、きっちりとした数値目標を定めることである。そもそもそうした数値目標がないから、そのときどきの業績に一喜一憂せざるを得ないのである。そのような運任せ天任せの経営は、経営とも言えまい。
中小企業が生き残る道は、自社の経営状態と自社を取り巻く経済環境をきっちりと把握したうえで、短・中・長期の見通しを立て、それを数値目標化していくしかない。それが経営の王道であり、数値だけが経営の実態を映す鏡である。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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