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ブログ・野口 誠一
第48回:倒産者に共通する性格第14条・見栄っ張り
2004年5月30日
倒産者に共通する性格の第14条は、「見栄っ張り」である。見栄の怖いところは、一度張ったら歯止めがきかなくなることである。服装が派手になったり、次々に車を買い替えたりなどはほんの序の口、やがて昼はゴルフ場、夜はネオン街と交際範囲が広がり、つれて交際費も膨らんでいく。そのうち町会長やら組合理事長やらが舞い込み、寄付や業界紙・誌への広告なども殺到する。しかし、見栄が邪魔をして断りきれない。その先には墓穴が口を開けて待っている。が、墓穴に落ちてもやまないのが見栄である。
だいぶ前のことになるが、私は新入会員同士の会話をなにげなく耳にして、驚いたことがある。1人が、「ところで、あなた方の負債はどのくらいでしたか」と聞いている。と、1人が、「1億ちょっとです」と答え、もう1人が、「私は3億を超えましたよ」と答えた。すると、聞いた当人が得意げに「それは良かったですね、私なんか5億ですよ」と言った。なんのことはない。倒産してまでその負債額を競い合っているのである。見栄もここまで来ると醜悪としか言いようがない。が、そこが、見栄の怖いところである。
詐欺師が最もカモにしやすいタイプは、1に見栄っ張り、2にお人好し、3に人を見抜く目がない人という。この三拍子が揃っていればわけもないが、なかなかそういうカモはいない。そこで見栄っ張りが真っ先に狙われる。見栄っ張りは阿諛追従に弱い。おだてられ、持ち上げられるとたちまち舞い上がる。プロの詐欺師はそこを狙い撃つ。
経営者に限らず、人は誰しも弱点を持っている。見栄もその1つである。が、大抵の弱点は隠すことができるが、見栄だけはその服装や行動に現れざるを得ない。つまり、無防備なのである。それだけに中小企業の経営者はご用心、ご用心。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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