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ブログ・野口 誠一
第53回:倒産防止第3条・忍耐・努力の継続
2004年6月14日
「再起の条件15か条」の第3条は、「忍耐・努力の継続」である。人は成功しようと思えば、誰でも忍耐・努力を強いられる。経営者の場合、それが一生続くと言ってもいい。会社を維持、継続、発展させていくのが彼の仕事だからである。徳川家康は「人の一生は重荷を負って遠き道を行くが如し」と言ったというが、人生そのものが忍耐・努力の連続と言っていいかもしれない。
私はいつも「倒産者は人の倍も3倍も忍耐・努力しなければいけない」と戒めているが、そこには2つの意味がある。1つはむろん、人の何倍も忍耐・努力して、1日も早く再起してほしいという意味である。もう1つは、謝罪と反省の意味においてである。倒産は多くの人に迷惑をかける。家族はもちろん、社員や取引先、金融機関など多くの債権者に累が及ぶ。たとえ破産、免責になったとしても、その道義的責任は免れない。とすれば、謝罪と反省の心を込めて、人の何倍も忍耐・努力するのは当たり前であろう。
ところが近頃は、そうした道義的責任を感じない倒産者が増えている。長引く不況で倒産が日常化し、正常な感覚が麻痺しているのだろうか。あるいは、巨額の負債を抱えた大企業に限って、「ツー・ビッグ・ツー・フェイル」(大きすぎて潰せない)とばかりに救済したり、大手銀行には湯水の如く公的資金を投入したりと、モラルハザード(倫理欠如)が横行し、倒産者から道義的責任を奪っているのかもしれない。
しかし、世の風潮がどうあれ、忍耐・努力の継続が再起の条件であることに変わりはない。プロ野球選手だって、スランプに陥れば「もう一度体をいじめ直してきます」と言って二軍に落ちていくではないか。いわんや倒産者においておや、であろう。花は耐えて咲くのである。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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