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ブログ・野口 誠一
第66回:危ない経営者第1条・耳の痛い話を聞かない経営者
2004年7月22日
「危ない経営者10か条」の第1条は、「耳の痛い話を聞こうとしない経営者」である。
誰しも耳の痛い話は聞きたくあるまい。まして経営者はお山の大将であり、一国一城の主である。なかにはまったく聞く耳を持たない経営者も少なくない。私はそういう経営者に会うたびに、「危ない」と思うと同時に、「もったいない」とも思う。なぜなら、耳の痛い話には多くの知恵と経営のヒントが含まれているからである。
そもそも、聞く側にとってなぜ耳が痛いかと言えば、その話のなかに、自分の短所や欠点に触れるような内容や、自分と相容れない見方や考え方が含まれているからであろう。とすれば、耳の痛い話ほど「宝の山」と言っていい。なぜなら、自分の欠点に気付かせてくれたり、さまざまな考え方を知ることができるからである。自分の欠点に気付き、克服すれば器が大きくなっていく。見方、考え方が広くなれば人間力が高まっていく。経営者にとっては願ってもない話であろう。
先頃、総会屋への利益供与事件で辞任を余儀なくされた西武鉄道の堤会長が、記者会見で「トップダウンをしていると下の意見が入ってこない」と嘆いていたが、私は首を傾げざるを得なかった。トップダウン経営は決して悪いことではない。下の意見が上がってこないのは、トップダウンだからではなく、トップに聞く耳がないか、あるいは下がそう思っているからであろう……と、そんなことを思った。バブル崩壊この方、悪質な企業不祥事が相次いだが、どの企業の経営陣も判で捺したように、「下から情報が上がってこなかった」を言いいわけにしていた。手を拱いていても情報は上がってくる……と信じていたとしたら、経営者失格である。情報が流れやすい組織とシステムをつくるのは、ほかならぬ経営者の仕事である。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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