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ブログ・小山 雅敬
第157回:トラブル防止のために管理者会議で何を伝えるべきか
2019年5月28日
【質問】わが社では毎月1回、現場管理者を集めて会議を開催しています。労務トラブルを防止するために、管理者に伝えておくべき事項があれば教えてください。
運送会社の管理者が労務トラブル防止の観点で最低限知っておくべき事項は次のとおりです。
①運送業界で多発する労務トラブルの内容と対策および現場管理者の役割②人手不足時代に管理者に求められる指導力とコミュニケーション力③改善基準告示と行政処分強化の内容および管理者の役割④労働時間管理に関する最近の留意点および管理者の役割、などです。
その他にも管理者に伝えるべき内容は多々あり、挙げればきりがありませんが、最近の相談事案の背景を考慮すると、以上の4点が管理者会議における喫緊のテーマといえるでしょう。
今、各地の運送会社で発生している労務トラブルは大抵の場合、作業現場の些細なトラブルがきっかけになっています。上司と部下のコミュニケーション不足から誤解が生まれ、小さな不満の種が次第に大きく膨らみます。その対処が遅れると、突然爆発して退職し、会社を訴えるというパターンです。本当によく見られます。
特に、最近入社してくる社員と熟練の現場管理者との意識の違いが、その背景に見られます。現場管理者は長年の経験から、「そんなこと、いちいち言わなくても当たり前のことだろう」と考え、繰り返し丁寧に教えている管理者は少数派です。ところが、最近は未経験者の採用が増えており、当たり前の作業でも何度か聞かないと理解できません。理解が不十分なままに作業をすると、ミスを犯してひどく叱られる。それが度重なると精神的に参ってしまい、会社を恨むようになる。この悪循環を断ち切るには、管理者に最近の求職者の傾向や指導の仕方を伝えておく必要があります。
また労働時間管理の方法や記録に関して、最近の数年間で厳しさが増しており、以前の管理レベルでは通用しなくなっています。経営者はトラック協会などの会議に参加し、説明を受けて、その内容を理解していますが、現場の管理者に徹底されていないケースが見られます。肝心なのは現場の日常管理であり、法改正内容や対策を管理者に十分理解させることが必要です。労務トラブル防止のために、本社の管理部門が行うべき課題(規程整備や賃金体系の見直し、など)と現場管理者が担うべき役割を明確に分けて、管理者会議で期待役割を徹底しておくべきでしょう。
(コヤマ経営代表 中小企業診断士・日本物流学会会員・小山雅敬)
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筆者紹介
小山 雅敬
コヤマ経営
昭和53年大阪大学経済学部卒業
都市銀行入行。事業調査部、中小企業事業団派遣、シンクタンク業務に従事。
平成4年三井住友海上入社。中堅中小企業を中心に経営アドバイス、セミナー等を多数実施。
中小企業診断士、証券アナリスト、日本物流学会正会員 等資格保有。 -
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