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物流ニュース
新幹線物流 JR東日本が実証実験スタート
2019年6月25日
JR東日本が11日から実証実験をスタートさせた「新幹線物流」。トラック輸送なら10〜12時間はかかる鮮魚輸送を6、7時間で届けることができるという。圧倒的に時間を短縮できるというメリットと、人手不足に悩むトラック運送に代わるものとして期待を集めている。JR東日本が進めている実証実験では、上越新幹線を使って甘エビやウニを新鮮なまま届けることができるという。今回は「新幹線物流」について調べた。
JR東日本の子会社でベンチャーへの出資や協業を推進するJR東日本スタートアップ(東京都新宿区)と、水産物の卸・小売りを手がけるフーディソン(同中央区)は11日から、新幹線を活用した鮮魚輸送の実証実験を実施した。同実験では顧客がショッピングサイト「ネットでエキナカ」で事前予約することで、佐渡沖で朝に水揚げされた生の甘エビや三陸沿岸の塩水加工した生ウニを、品川駅構内の「sakana bacca エキュート品川店」で受け取ることができる。
新幹線物流とフーディソンのプラットフォームを組み合わせることで、生の出荷が難しい海産物を、「獲れたて」のまま首都圏に配送することが可能となった。
JR東日本スタートアップの柴田裕社長は、「メリットは速いこと」と指摘。同社担当者は、「水揚げから店頭まで、トラック輸送なら10時間から12時間かかるところ、今回の実証実験では6、7時間だった」という。柴田社長は「フーディソンの持つ全国の漁港ネットワークと、JR東日本の持つ新幹線という高速輸送。これを掛け合わせてつくり上げたのが、今回の新たな挑戦、新幹線を用いた超高速の鮮魚輸送である。JR東日本の持つ新幹線を使って、東北や新潟の『獲れたて』海産物を都内の駅ナカで売るというチャレンジを行う。鮮度落ちが早く、生で出荷することが難しい『獲れたて』鮮魚の超特急輸送という、新しい事業モデルをつくった」としている。
大幅な時間短縮を実現した今回の実証実験だが、課題も明らかになった。商品を積み込むスペースは今回、車内販売スタッフらが利用するスペースが使用されたが、1畳ほどであまり広くはなく、多くの商品を置けない。しかも、積み込む商品が多くなればなるほど作業に時間がかかり、運行ダイヤが乱れる心配もある。JR東日本グループでは、「この実験を踏まえ、鉄道会社ならではの新たな流通サービスを実現していきたい」としている。
また、他のJR各社で「新幹線物流」に前向きなのはJR西日本とJR九州。JR西日本では、「ウチでも、JR東日本と同じ取り組みではないが検討はしている。しかし、具体的にどうこういうものはなく、公表できるものではない。新たな取り組みとして現在、模索している段階」という。
JR九州は、「中期経営計画に新幹線物流を入れた。しかし、具体的な中身はまだ出ていない。中期経営計画の3年間で何かしらは出てくるものとは思う」としている。
JR東海では「現時点で予定していない。社内で話題になることはあるが、検討しているという段階にない」とコメント。
JR北海道では、「北海道新幹線と在来線の共用走行の解消を目的に『トレイン オン トレイン』を検討したことはある。(新幹線物流は)技術的にも可能だとは思うが、当社が『ある・ない』と言える立場にはない。当社だけで完結できることではないので、多くの関係者の意向もあり、お答えできる立場にはないというスタンス」としている。
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