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ブログ・野口 誠一
第354回:改善方針7か条
2012年4月16日
正攻法に尻込みするMさんに、私は次のように言った。
「恥をかきたくないから、怖いからといって腕をこまぬいていれば、確実に倒産ですよ。ここは見栄をかなぐり捨て、当たってみてはいかがですか。うまくいくかどうかはわかりませんが、いまは会社が潰れるかどうかの瀬戸際でしょう。できることはなんでもする覚悟が必要です。まさか、見栄で会社を潰すわけにはいかんでしょう。倒産するもしないも、あなたの決断と実行次第ですよ」。
Mさんは真面目な人で、私の言葉を真剣に受け止めてくれ、「わかりました。やってみます」と言ってくれた。その決意に動かされ、私と公認会計士はさらに一歩、次の段階へと踏み込んでいった。
「では取引先や銀行へ、どのように話を持っていくか、作戦を立てましょう。まずは手みやげが必要です。やみくもに頭を下げたって、相手は聞く耳を持たないでしょう。きちんとした経営改善策が必要です。どのような方針に基づいて、何をいかに改善し、いつどれだけの利益を上げるか、それを提示しながら猶予を願えば、けんもほろろということはないでしょう」
こうして私と公認会計士とMさんの3人は、さっそく経営の改善方針と具体的な改善策の作成にとりかかった。そして出来上がったのが「改善方針7か条」と、21項目にわたる具体的改善策である。この改善策を実行に移せば、平成8年の決算で8300万円だった総経費が、平成9年には5000万円まで圧縮され、約40%の改善をみることになる。
私たちは全21項目の一つひとつについて、前期の数字と今期の改善目標数字を並べ、数字を達成できる理由と方策も書き込んだ。あとは人事を尽くして天命を待つしかない。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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