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ブログ・馬場 栄
第151回:ドライバーの身だしなみルール
2019年6月6日
今やドライバーには、運転技術や荷下ろし技術だけではなく、荷主や配送先への接客力まで求められる時代です。普段、直接荷主と顔を合わせるのは、社長ではなくドライバーです。ドライバーは会社の顔であり、ドライバーの良し悪しで会社の印象もガラッと変わってしまうのです。印象のいいドライバーであれば、運賃交渉などの交渉ごとの際、「○△君はいつも頑張っているから、運賃を上げてもいいよ」と、すんなり交渉ができたという話を、ある社長から聞いたことがあります。今後は自社のドライバーの行動や印象が、会社の売り上げを左右するといっても過言ではありません。
そのため、ドライバーの教育・研修に時間をかける会社も増えてきています。会社のイメージを外に発信するために、教育・研修とあわせて、その土台となるドライバーの規律づくりを始めたいという経営者からの相談も増えてきました。
そのなかでも、相談が多く効果的なのが、ドライバーの身だしなみに関することです。服装や容姿に関することを定めますが、「茶髪・ピアス禁止」などが分かりやすい例です。人の第一印象は、見た目でほぼ決まってしまいます。ドライバーを接客業の一つと考え、「多くの人にとって清潔感を感じられるものか・不快ではないか」を身だしなみの基準にします。荷主が限定されているなら、その荷主にとって清潔と感じられるもの・不快ではないもの、と考えてもいいかもしれません。身だしなみへの感覚も多様ですから、「制服のボタンは第一ボタンまで留める」「首にタオルを巻いてはいけない」など、具体的に「してよいこと・いけないこと」を規律に落とし込んでいくとよいでしょう。
規律ばかりだとドライバーも息苦しさを感じてしまいます。ただ押し付けるのではなく、なぜ行うのか、例えば「みんなきちんと制服を着るのは、荷主から『あの制服は○□会社のドライバーで、いつも優秀だな』と印象づけてほしいからだ」など、規律に込めた思い・理由を伝えることも大切です。
社員が会社の思いを理解した上で、服装や身だしなみを整えると、自然と仕事の向きあい方も丁寧で真摯になる傾向にあります。すると、荷物の扱いが丁寧になったり、乱暴な運転がなくなったりと、荷主へのアピールにもつながります。また、事故や違反が減ることで、業務の効率化・コスト削減にも寄与できます。効果的に規律を定めることは会社のイメージアップにつながり、コスト面でも経営に好影響を与えることになります。
(保険サービスシステム株式会社・社会保険労務士・馬場栄)
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筆者紹介
馬場 栄
保険サービスシステム株式会社 社会保険労務士
年間約300社の経営者の相談・アドバイスを行っている。中小企業の就業規則や残業代など、幅広い労務管理のアドバイスに高い評価を得ている。 -
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