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ブログ・馬場 栄
第99回:必ず締結が必要となる「36協定」
2017年2月16日
社員に残業(時間外労働・休日労働)を行わせるときには、あらかじめ36協定(時間外労働・休日労働に関する協定届)という協定書を労使間で結び、事業場を管轄する労働基準監督署に届け出なくてはなりません。しかし、中小運送会社では、この36協定を結んでいない、36協定で定めた時間を超えて残業を行わせるという状況が多く、近年、労基署の目が厳しくなってきています。
労基署の調査はいつ行われるか分かりませんので、全ての会社で最低限36協定を結んで届け出る必要があります。また、届け出るだけでなく、協定書の内容を順守する必要もあります。労基署で36協定違反を指摘された後に、労基署から運輸支局に通報が入るということも増えてきています。その後、運輸支局からも監査を受け、改善基準を超えて労働させたために休車命令を受けるというダブルパンチの事例も増えてきているのです。36協定をきっかけに監査がどんどん広がってしまうのです。
ドライバーの36協定の残業時間設定はやや特殊です。他の職種の場合、残業させる限度時間があり、それ以上残業させるときは別に特別条項という項目を定めなければなりません。一方、ドライバーにはその限度時間の決まりはありません。
しかし、皆さんご承知の通り、拘束時間のルールは厳しくなっています。改善基準の拘束時間をベースにして1日、2週間、1か月、1年の残業時間の上限を算出し、その範囲で残業時間を記載します。ただし、過労死基準を超えるような長時間の残業時間を記載していると、何かあったときに会社のコンプライアンスが問われますので、残業時間の上限はよく見極めて記載する必要があります。次回は、36協定の設定についてもう少し掘り下げてご案内していきます。
(保険サービスシステム株式会社・社会保険労務士・馬場栄) -
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筆者紹介
馬場 栄
保険サービスシステム株式会社 社会保険労務士
年間約300社の経営者の相談・アドバイスを行っている。中小企業の就業規則や残業代など、幅広い労務管理のアドバイスに高い評価を得ている。 -
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