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ブログ・馬場 栄
第132回:運送業で耳にする「定額残業制」とは
2018年5月10日
運送会社の社長に話を聞くと、残業代の支払いについて問題を抱えているケースが多く見受けられます。それは社員に、ある程度働いてもらわなければ利益が上がらず、かといって払える賃金には限りがあるといったジレンマを感じているからなのです。
社長の中には、労働者と契約を結ぶ時に月給30万円としたなら、その給与には残業代も全部含んで30万円と考えている方も多くいらっしゃいます。しかし、法律通りにいけば、社長の考えとは裏腹に残業代を別途払わなければなりません。残業代は法律上2年間さかのぼって請求することが出来るので、社長の皆さんが把握していない何百万円という未払い賃金が、ある時点で急に表面化する可能性があるのです。
では、現在支払っている賃金の範囲で、残業代問題を解決できる方法はないのでしょうか。実は残業代問題を解決する効果的な対策が一つあります。それは、毎月一定額を残業代としてあらかじめ支払う『定額残業制』を活用するということです。残業が発生した場合、1.25の割り増しを掛けて残業代を別途支払わなければならないのはご承知のとおりです。しかし、この定額残業制では毎月一定の残業が見込まれることを想定し、一定時間分の残業代をあらかじめ給与に組み込んで支払う制度なのです。
例えば、定額残業制であらかじめ30時間分の残業代を支払えば、30時間までは残業をしても追加で残業代を支払わなくても問題なく、仮に残業時間が50時間になったら20時間分の差額の残業代を支払えばよくなります。逆に30時間と設定したが、20時間しか残業しなかったら10時間分の残業代を減額しないのも重要なポイントになります。
この定額残業制の導入に際しては、労働者の同意が必要であることなど、運用上注意する点が多くあります。次回から数回にわたって、この定額残業制の運用方法について詳しく説明していく予定です。
(保険サービスシステム株式会社・社会保険労務士・馬場栄) -
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筆者紹介
馬場 栄
保険サービスシステム株式会社 社会保険労務士
年間約300社の経営者の相談・アドバイスを行っている。中小企業の就業規則や残業代など、幅広い労務管理のアドバイスに高い評価を得ている。 -
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