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ブログ・川﨑 依邦
経営再生物語(339)小集団活動のすすめ方(4)―1
2021年6月21日
今まで3回にわたって、事例中心に小集団活動の進め方について展開してきた。福島県いわき市の「スパリゾートハワイアンズ」(旧称=常磐ハワイアンセンタ—)の活動を取り上げる。
スパリゾートハワイアンズの実践
常磐炭鉱の跡地を利用して夢のハワイを出現しようと作られたのがスパリゾートハワイアンズである。「ここの人は一度、地獄を見てるから。炭鉱がダメになって、みんな東京だ千葉だってばらばらになって。会社が傾くとどうなるか、嫌ってほど見たから」従業員の生の声である。炭鉱がダメになってサービス業を始めた。なんとかしないと、の気持ちがQC活動の実践へと導いたのである。従って生半可ではない。QC活動は言ってみれば小集団活動である。品質管理運動でもある。
スパリゾートハワイアンズのサークルは、踊り子さん、宴会係、バンドマン、植木係と職種ごとにつくられている。ミーティングは原則として毎週1回、3時のおやつの時間などを利用して行っている。
例えば、踊り子さんの活動テーマは「化粧の合理化」である。化粧の手順を調べる。いわば、現状把握である。この化粧で、月に2万円かかる人もいれば7000円で済む人もいる。どこに問題があるのか。問題点の分析である。そのため、眉、目の周り、唇など顔の7か所を決め、お互いに見栄えを良い、普通、悪いの3段階で評価し合い、目の周りに悪いが集中するのが分かった。不良率54%、新人ほど不良率が高いと分かった。そして、対策として化粧法の研修を行い、相互啓発を繰り返して不良率を半減させた。
また、レストランのサークルは、「メニューの改善」というテーマに取り組んだ。現状分析として、残量の調査を行う。データを綿密にとる。データでものをいい、異常があれば原因を調べ、処置を取るためだ。その結果、お子様ランチでは、白御飯、ハンバーグに残りが多いのが判明し、対策として白御飯はケチャップ味とし、ハンバーグを小さくした。
この2つのサークル活動に見られるように、身の回りの問題について徹底した調査を行い、ミーティングを積み重ねていくのが小集団活動の基本である。こうした活動力は、どこから生まれるものだろうか。それは一人ひとりの生き甲斐の充実からである。踊り子さんにとって、仲間と話し合い連帯感をもって問題点を見つけ、創意工夫で解決していく活動は、生き甲斐の充実につながる。この活動によって、踊り子としての自信を育ててプライドを身につけていくのである。 (つづく)
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筆者紹介
川﨑 依邦
経営コンサルタント
早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。
株式会社シーエムオー
http://www.cmo-co.com -
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