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ブログ・川﨑 依邦
経営再生物語(162)無事故運動〈事例A〉
2017年7月20日
〈人を育てる職場に〉
「無事故運動」はメーン荷主の「取引中止」という危機からスタートしたが、乗務員教育に対しても大きな力を発揮している。とりわけ、班長に任命された者の自覚が高まり、人間的成長に貢献している。
A班にいるD君は、4?車の運転者である。入社して1年、D君はよく事故を起こしている。
荷主先でバックして門柱に当てた、低いところを通って荷台の天井を破損した、路上でバックして看板を壊した、などの事故である。
A班長はD君とじっくり話し合っている。このままでは、D君は乗務員失格の烙印を押される。「スピードを落として走れよ。交差点では徐行を必ずしろ。走行中の途中休憩は必ずとれ」とキメ細かく話しかける。A班長は、D君の家まで行く。D君の自宅を訪問して、いろいろと話し込む。
「D君、どうして運転者になったの?」
「先輩、それは車が好きなのと、給料がいいかな、と思ってハンドルを握りました。でもあんまり給料も高くないなあ」
「それだったら、大型の免許を取ったらどうだい。『無事故運動』で優秀賞をもらえたら、社長に頼んでやるよ」
「え、本当ですか」
「そのかわり、これ以上チョコチョコと事故を起こすなよ。そうすれば、社長にも頼みやすいしね」
「はい、分かりました」
D君は大いにやる気になった。6か月間、A班は優秀な成績をおさめた。D君は大型免許を取得することができた。A班長の力である。
「自分のことでなく、班員のことを考えるようになって、働く喜びがわいてきました」
A班長の言葉である。
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筆者紹介
川﨑 依邦
経営コンサルタント
早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。
株式会社シーエムオー
http://www.cmo-co.com -
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