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ブログ・川﨑 依邦
経営再生物語(278)人材育成について(3)A社の事例(3)
2020年2月10日
・B社の破滅ストーリー
B社は従業員20人のピアノ販売会社である。B社の社長家族、妻、子1人は寒風の1992年12月、夜逃げした。原因は会社の倒産である。
B社の社長は東京の一流大学を卒業して20年前に創業した。倒産原因は資金繰りの悪化である。真因はトップの姿勢にある。B社長は従業員を従業員とも思わぬところがあった。
ピアノの調律をする女性社員がいた。尊厳を傷付けるようなことを平気で口にしていた。ピアノの調律の仕事で出張した際、長時間、車に乗っていたので、その女性は「トイレに行きたい」の一言が言えず、ちょっとおもらししてしまった。それほど、このB社長は社員を押さえつけていた。この事実を笑い話にしていた。人の心を傷付けるとは、このことで、実にむごいことである。
かつての社員が倒産の報を聞いてB社へ行ってみた。すでにペタペタ差し押えの紙が貼られていて、無残な姿だった。そのことを家に帰って奥さんに話したところ、「ざまあみろ」の激しい言葉が返ってきた。
なぜか。この社員は幹部社員だったので、過労死するぐらい働かされ、時々は給料も遅配し、奥さんとしては我が主人をコケにするオニのような会社のオニ社長だったのである。かつての恨みや辛さが「ざまあみろ」との言葉に込められている。
B社長は、社員に期待しなかった。大きく育ち、人間性を豊かにするように心から社員に願いをかけることがなかった。B社長の姿勢は、私欲のかたまりであった。
私は経営コンサルタントとして、さまざまの企業の経営実態を目の当たりにして、経営指導を展開する。今まで述べたA社、B社とも新聞で倒産の報を読んで、「やっぱり」という思いと、「なに」という驚きを感じた。
経営コンサルタントとしては無縁のA社、B社であるが、つくづくと、なぜ、倒産したのか考えさせられた。かつての社員や取引先の人に聞いて、調査した内容が、今まで述べたものである。
トップのあり方が問われている。トップの正しい人生観、価値観が問われている。人材を育成するとは、その人自身がやる気を出すのが基本である。
能力は知識、技能、態度で構成される。決め手は態度である。やろうという積極的、主体的、自発的な態度があれば、おのずと知識、技能は身についてくるからだ。
積極的、主体的、自発的な態度は、いかにして生まれるか。そのことの一つとして、トップの正しい期待がある。「どうか成長してほしい」との無私の思いが持てれば、必ず相手に通じる。この通じたものが、エネルギーになって、やる気を呼び起こしていくのだ。
〝念ずれば花開く〟という言葉があるが、念じなければ花は開かない。花とは、その人の持っている能力であり、成長目標である。念ずるとは祈りであり、期待をかけることである。以上。
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筆者紹介
川﨑 依邦
経営コンサルタント
早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。
株式会社シーエムオー
http://www.cmo-co.com -
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