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ブログ・小山 雅敬
第186回:履歴書のチェックポイント
2020年7月7日
【質問】人手不足のため採用基準を下げ、期待外れの人材でも採用してきました。その結果、入社直後のトラブルが増加し、最近は新規採用に慎重になっています。採用前に履歴書で人材を見極める方法を教えてください。
運送業の現場で、人手不足と反比例するように、入社直後の労務トラブルが急速に増えています。「入社して1週間後から上司の指示を無視するようになった」「背中一面に入れ墨を彫っていることが入社してからわかった」「入社当初から録音や日報をコピーしている」など、最近の相談内容は過去とは様変わりです。
人手不足で採用の入り口が甘くなっており、前職で問題を引き起こした社員を、ノーチェックで受け入れているため、同様の問題が発生しているケースが見られます。採用前の身元調査は制限されており、人材の見極めにおいて、履歴書のチェックは極めて重要です。履歴書を見る際のチェック項目を次に列記します。経営者のみならず、面接や採用に関わる管理職に伝えておく必要があります。
まず、最も重要なチェック項目は「職歴」の欄です。
①過去、1年以内に転々と職を変わっていないか。→採用しても長く続かない傾向あり
②過去の仕事に一貫性はあるか。転々と業種・職種を変え、何がやりたいのかが不明→短期で辞める傾向あり
③応募直前に半年以上の空白期間がないか→病気療養で働けなかった実例が多く、空白期間中の活動や既往症の確認が必要
④職歴を省略して「建設、飲食、その他」などと記載している場合→入社後に問題を引き起こす事例が多くあります。反対に職歴に営業経験がある人材を採用すると、入社後、幹部社員や中核的な人材に育つケースが良くあります。
職歴の次に「日付」欄をチェックします。履歴書に日付が記載されていない場合は記入を促します。失業手当受給目的で日付未記載のまま使いまわす実例が過去に複数ありました。
「資格・免許」欄では保有する資格・免許の確認と併せて原本の確認もしておきましょう。
「写真」がスナップ写真の切り貼り→入社の意思が薄いか、または入社後に規律性の問題が生じる可能性があります。履歴書全体の文章から熱意が伝わらず、乱雑な印象を受ける場合は、入社後に問題が発生する事例があり、人物の基本マナーや責任感などを面接時によくチェックしなければなりません。履歴書のチェックと併せて、会社から労働条件の明確な説明を実施することで、入社後のトラブルを防止してください。
(コヤマ経営代表 中小企業診断士・日本物流学会会員・小山雅敬)
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筆者紹介
小山 雅敬
コヤマ経営
昭和53年大阪大学経済学部卒業
都市銀行入行。事業調査部、中小企業事業団派遣、シンクタンク業務に従事。
平成4年三井住友海上入社。中堅中小企業を中心に経営アドバイス、セミナー等を多数実施。
中小企業診断士、証券アナリスト、日本物流学会正会員 等資格保有。 -
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