-
ブログ・小山 雅敬
第187回:運送会社における班長の役割と指導のポイント
2020年7月21日
【質問】弊社には班長が10人以上おりますが、班長らしい仕事をしておらず、班長会議で建設的な意見を述べることもありません。このままでは意味がないので班長制度の廃止も検討しています。班長は必要でしょうか?
実運送会社の組織は、なるべくフラットに作り、現場の管理にウェイトを置くほうが機能しやすい特徴があります。そのため、運転職が30人を超える規模になると、5人につき1人の割合で班長または主任を配置して現場の指導体制を整えます。
特に、最近のように法規制が強化され、現場の管理が重視される状況では、班長制度の適切な運用が重要性を増しています。ところが班長の役割を伝えず、班長教育を行っていないと、班長の自覚が生まれず、本来の機能が発揮されません。
班長の主な役割は大きく分けて①安全面と②職場のコミュニケーションの2点に集約されます。
まず、安全面での役割は、班員の日々の体調を気遣い、異変が見られたら本人に声がけし、運行管理者や管理職に伝えて注意喚起することです。また、決められた作業手順や安全ルールが現場で実際に行われていることを確認し、班員を指導して事故防止に努めることです。また、自らが作業に従事する中で気づいた現場の改善点を会社に提言する姿勢が求められます。
これらは運行管理者や所長などの管理職が行う業務と重なりますが、作業内容を熟知した班長が現場の指導役になることに意味があるのです。チームワークで事故防止の達成に向けた意欲を高めると期待以上の効果を生み出します。職場のコミュニケーションについても班長が率先して声がけするなどの行動をとることで、仲間意識が喚起され、職場の活性化につながります。何でも話しやすい職場の雰囲気が社員の定着率を上げ、仕事への意欲を高めます。班長は上司ではなく、チームのまとめ役です。管理職とは異なる役割を担うのです。
以上の内容を班長にしっかりと伝え、行動に移してもらう必要があります。班長会議が伝達事項の確認のみに終始している会社では、班長の意識が向上しません。班長会議で行うと効果的なのは、班長自らに考えさせ、提言させる訓練をすることです。安全や職場環境に関するテーマを与え、班長の役割についてグルーブティスカッションを行って発表させる場を作り、班長としての自覚を育てていく必要があります。班長制度が機能しないのは、機能させる訓練が不足しているからです。班長制度の廃止より、制度を生かす方策を検討すべきでしょう。
(コヤマ経営代表 中小企業診断士・日本物流学会会員・小山雅敬)
関連記事
-
-
-
-
筆者紹介
小山 雅敬
コヤマ経営
昭和53年大阪大学経済学部卒業
都市銀行入行。事業調査部、中小企業事業団派遣、シンクタンク業務に従事。
平成4年三井住友海上入社。中堅中小企業を中心に経営アドバイス、セミナー等を多数実施。
中小企業診断士、証券アナリスト、日本物流学会正会員 等資格保有。 -
「ブログ・小山 雅敬」の 月別記事一覧
-
「ブログ・小山 雅敬」の新着記事
-
物流メルマガ