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ブログ・小山 雅敬
第265回:2024年中に運送会社が取り組むべきこと
2024年2月2日
【質問】「2024年問題」に直面する年になりましたので、今年中に運送会社が実施すべき内容とそのポイントを教えてください。
2024年は運送会社が法改正の現実に直面する年になります。勝ち残りに向けて運送会社が2024年中に取り組むべきことを整理して次に列記してみたいと思います。
①「労働時間の削減」…2024年問題に向けて準備を進め、すでに対策を終えた会社がある一方、未だ様子見で長時間労働を放置したままの会社も散見されます。法改正による送検や罰則適用の事態を避けるため、4月までの数か月間に必ず対策を講じておきましょう。
②「運賃・料金の交渉」…年度内に標準的な運賃や標準貨物自動車運送約款の改正が行われる予定であり、新たに明示される荷役作業料等の交渉も含め、荷主や元請との話し合いを行うことが重要です。交渉の成功確率を上げるため、運賃・料金の交渉は必ず文書で行いましょう。
③「物流DXの推進」…2024年は物流DXが飛躍的に進展する年になるでしょう。中小運送会社は身近なデジタコや労務管理・運行管理ソフト等の導入から開始し、人手による管理からシステムによる効率的な管理に転換していきましょう。
④「その他法改正への対応」…労働基準法施行規則の改正により4月から労働条件明示ルールが変更になります。「就業場所や業務の変更の範囲」等の明示が義務化されますので、労働条件通知書や労働契約書の記載内容を修正する必要があります。
⑤「最低賃金上昇対策」…2023年8月に発表された政府方針により、最低賃金が2030年代半ばに全国加重平均1500円程度になる見込みです。これにより年間42円程度の上昇が今後も長期にわたり継続する見通しであり、最低賃金を割らないための対策が不可欠です。賃上げ余力の乏しい中小運送会社は最低賃金に算入されない手当の改廃を含めた賃金体系全体の見直しが必要になるでしょう。
⑥「多重下請け構造の是正」…物流革新に向けた政策パッケージで指摘されているとおり、運送業界の多重下請け構造は今後是正を求められることになります。2024年は協力運送会社の管理体制見直しが求められるでしょう。
⑦「中期経営計画の作成」…2024年以降、運送業界は勝ち残り組と淘汰される企業との差が鮮明になるでしょう。2024年からの3年間にどう会社を改善するか、具体的な実行計画を立てることが重要です。
(コヤマ経営代表 小山雅敬/中小企業診断士・日本物流学会会員)
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筆者紹介
小山 雅敬
コヤマ経営
昭和53年大阪大学経済学部卒業
都市銀行入行。事業調査部、中小企業事業団派遣、シンクタンク業務に従事。
平成4年三井住友海上入社。中堅中小企業を中心に経営アドバイス、セミナー等を多数実施。
中小企業診断士、証券アナリスト、日本物流学会正会員 等資格保有。 -
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