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ブログ・小山 雅敬
第273回:ドライバーの週4日勤務制採用のすすめ
2024年6月7日
【質問】この数年間、ドライバーを募集しても全く反応がありません。一方で退職者が続いており、事業の先行きに大きな不安を感じています。現在ドライバーが集まっている会社はどのような取り組みをされているのか知りたいです。
2024年問題対策に集中してきた時期を過ぎて、4月1日改正法施行後の数か月は一見平穏に過ぎている感があります。一方、ドライバーの人材不足は急速に厳しさを増しており、人手不足倒産の急増に如実に表れています。
2024年1〜4月までの人手不足倒産の実績は過去最多となり、一般貨物自動車運送業が業種別1位の倒産件数になっています。この傾向は昨年から顕著に表れており、ドライバーの枯渇状態がいよいよ危機的になっていることを示しています。
今、人材確保対策は運送業の事業継続に向けた最大の課題であり、取り組みの程度を最高レベルに引き上げることが必要です。多くの運送会社が人材確保に苦労している中、現在弊社が関与している会社の中に比較的若い世代の社員がコンスタントに入社してくる運送会社があります。
その会社は長距離輸送の業務が無く、近距離中心に食品及び雑貨等の配送を行っています。この会社に若年層のドライバーが集まってくる理由は、相場の金額程度の賃金を支給しているほか、比較的自由に勤務時間を選ぶことができる点にあります。
最近の若年層のニーズは「自由に使える時間を確保したい」という点に集中しており、どの会社でも採用面接時に最初に聞いてくるのは「休日は何日ありますか?」であり、一昔前の「給料はどのくらいもらえますか?」の質問から様変わりしています。
一方、一日の労働時間が通常より長くなることについてはあらかじめ覚悟している人が多く、むしろ休日の日数を気にする傾向が顕著に表れています。
前出した運送会社は若手社員の要望に応えて、週4日勤務の正社員制度を採用しています。1日の所定労働時間は10時間になりますが、10時間程度の勤務はトラックドライバーであれば当たり前と考えている若年者が多く、不満を言う者は一人もいません。
むしろ週3日の休日が取れて正社員としての福利厚生等の待遇が得られる仕事は、まだ少ないため、友呼びで入社してくるものも少なくありません。働き方改革とは本来、労働時間の削減を無理強いするものではなく、働き手の要望に応えて弾力的な勤務体系を作ることを目的とするものでしょう。
週4日勤務の正社員制度は、これから若年者を呼び込むときの有力な雇用方法と言えるでしょう。
(コヤマ経営代表 小山雅敬/中小企業診断士・日本物流学会会員)
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筆者紹介
小山 雅敬
コヤマ経営
昭和53年大阪大学経済学部卒業
都市銀行入行。事業調査部、中小企業事業団派遣、シンクタンク業務に従事。
平成4年三井住友海上入社。中堅中小企業を中心に経営アドバイス、セミナー等を多数実施。
中小企業診断士、証券アナリスト、日本物流学会正会員 等資格保有。 -
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