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ブログ・小山 雅敬
第150回:10年後を見通した会社の基盤整備とは
2019年2月19日
【質問】昨年、実父から社長を継ぎ、運送会社の代表者になりました。経営者になって初めて会社の実情を知り、未整備な面の多さに愕然としました。10年後の将来も会社が存続するように会社の基盤を整備していきたいと考えています。どのように進めればよいかを教えてください。
長年、運送会社の経営指導をしていますが、特にこの数年間は、連日のように各社で大小様々な問題が表面化し始めています。これらの大半は、社内の未整備な点に起因しています。従来は問題にならなかったものが、最近は致命傷になってきたということです。A運送会社で未整備な賃金制度に起因する問題が発生したかと思うと、同時にB社では全く別の問題が発生するという具合です。このようなスポットの相談依頼は、いずれも問題発生後の依頼で、緊急性が高いうえに全国各地で発生しています。そのような環境下で現在、事業承継が各社で進んでおり、漠然とした不安感を持つ後継者からの相談も大変増えています。
実は事業承継の時期は未整備な会社を改善する好機なのです。後継者が新しい目で将来に向けて基盤整備に取り組むことは、大変重要なことです。ただし、取り組むにあたっては実情に応じて優先順位をつける必要があります。全般的に未整備な会社の場合、次の順番で見直していきます。
まず、会社の基本となる経営理念、経営方針、経営計画の検討と整備です。経営理念は先代から引き継ぐ場合が多いと思いますが、事業承継を機に改めて見直すことも重要です。また、将来に向けて会社がどの方向を目指しているのかを社員に明示するため、経営計画をオープンにすることは大変意味があります。経営計画は現状を再確認する機会になり、将来の人員、設備、事業戦略、業務内容、荷主との付き合い方なども明確になります。
次に、組織の整備に取り組みます。管理者の位置づけや責任と役割が不明確であり、どうすれば管理職になれるのかも不明な会社が多く存在します。このような会社には若者が入社しません。組織の見直しは、現状の組織図を新しい組織図に変える取り組みと考えて頂くとイメージしやすいと思います。組織の見直しは必然的に賃金体系の見直しを伴います。管理者の処遇や評価制度の明確化が必要になるからです。それらの社内整備と並行して、財務管理の整備やシステム構築を進めていきます。経理や給与計算をシステム化して透明性を高め、原価管理の仕組みを導入することになります。また、人材確保対策の一環として福利厚生の検討や教育プログラムの再構築を行う必要もあります。
(コヤマ経営代表 中小企業診断士・日本物流学会会員・小山雅敬)
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筆者紹介
小山 雅敬
コヤマ経営
昭和53年大阪大学経済学部卒業
都市銀行入行。事業調査部、中小企業事業団派遣、シンクタンク業務に従事。
平成4年三井住友海上入社。中堅中小企業を中心に経営アドバイス、セミナー等を多数実施。
中小企業診断士、証券アナリスト、日本物流学会正会員 等資格保有。 -
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