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ブログ・小山 雅敬
第165回:運送業における多様な雇用契約の事例
2019年9月17日
【質問】現在、正社員との雇用契約は、月曜日から金曜日まで週5日、1日8時間労働の雇用契約のみとなっています。今後、多様な雇用形態を検討したいと考えています。運送会社における雇用契約の事例を教えてください。
運送会社の業態は様々であり、その事業内容も多様化していますが、正社員との雇用契約に関しては、フルタイムの契約のみという会社が、いまだに多く見られます。一方で、数種類の雇用契約を設定し、求職者が希望する雇用形態で契約を取り交わしている運送会社もあります。それらの会社には、比較的若い求職者が応募してくる傾向が見られます。
弊社が関与したA運送会社は週4日勤務の正社員を採用しています。フリーペーパーを使い、「週4日で正社員!」のキャッチコピーで、働きやすさをアピールし、応募してきた人を複数人採用しています。
その条件で応募してくる求職者は大抵、音楽やスポーツなどに強いこだわりを持ち、地道に活動を続けている若い人たちです。自分でやりたいことがあるため、毎日フルタイムで働くことはできないが、生活のために週の半分は安定した会社に勤務したいと考えています。彼らは、出来れば福利厚生が充実し、社会保険の安心もある会社で働きたいと考え、勤務先を探しています。
所定勤務日は、深夜もいとわず、まじめによく働きます。会社としても、週4日勤務であれば、変形労働時間制で一日の所定労働時間を10時間に設定することができ、労働時間の弾力的な運用が可能です。
この条件で応募してくる人の中には、家族の介護や通院などの事情でやむを得ず、フルタイムの勤務ができない人もいます。その日のうちに、自宅に帰ることができるため、会社に感謝し、まじめに働きます。勤務日数は少ないですが、その貢献度はフルタイムの正社員に劣りません。
また、別の運送会社B社では、一日6時間労働の雇用契約を取り交わしています。こちらは子育て中の女性が対象です。子どもを託児所に預ける朝夕の時間を外して、日中に勤務してもらいます。B社の週休は1日と少ないのですが、社会保険の対象となる正社員として安心して働けると感じているようです。仕事への取り組み姿勢も良く、社内の評判が高い社員です。
なおB社は、来年から60歳の定年を65歳に引き上げ、60歳以降の社員を職務限定正社員(乗務員限定)に位置付ける方向で準備中です。再雇用の嘱託社員から正社員へと変更になることで、高齢者の仕事へのモチベーションを上げたいと考えています。
(コヤマ経営代表 中小企業診断士・日本物流学会会員・小山雅敬)
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筆者紹介
小山 雅敬
コヤマ経営
昭和53年大阪大学経済学部卒業
都市銀行入行。事業調査部、中小企業事業団派遣、シンクタンク業務に従事。
平成4年三井住友海上入社。中堅中小企業を中心に経営アドバイス、セミナー等を多数実施。
中小企業診断士、証券アナリスト、日本物流学会正会員 等資格保有。 -
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