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ブログ・小山 雅敬
第169回:「福利厚生」で人材を集める
2019年11月12日
「福利厚生」は、賃金や休日などと並び、重要な労働条件の一つです。中小運送会社ではあまり重視されていなかった労働条件ですが、最近の人手不足を背景に、求人対策の一環として取り組み始める会社が増えてきました。
全国の運送会社で見られる福利厚生は多種ありますが、特に求人に効果的な福利厚生は主に3つあります。①医療健康に関する福利厚生②住宅や子育てに関する福利厚生③資格取得補助やコミュニケーションに関する福利厚生︱︱の3つです。これらを会社の事情に応じて優先順位をつけ、順次採り入れることを考えると良いでしょう。
①の医療健康に関する福利厚生は求職者の関心が高く、人材採用にも効果的です。一例として従業員がけがや病気で働けなくなった時などに会社が援助する仕組みなどがあります。所得補償や通院費用などの補助を会社経費により保険で準備する取り組みなどです。また最近、若者の採用に大変効果的なのは経産省の「健康経営」認証を取得し、アピールすることです。私の関与先企業でも複数の会社が、この取り組みで若手の採用に成功しています。
②の住宅に関する福利厚生は、主に遠隔地から人材を集める際に特に効果的です。社員寮や独身寮、借り上げ社宅などを会社経費で準備する施策であり、住宅手当の支給よりも実質的な負担が少ない安価な社宅使用料で居住できるため、求職者を誘引する効果が高いのです。特に有効求人倍率が高く、若者のほとんどが大手企業に就職して中小運送会社に入らない地域などで、よく検討されます。また、子育て支援では託児所の設置や特定の保育園と連携するケースなどが見られます。仕事で子どもを迎えに行けない場合に、代わりに保育園に子どもを迎えに行き、自宅まで送り届ける仕組みを検討している運送会社もあります。
③の資格取得補助は、多くの運送会社が導入しており、必須の福利厚生です。トラック、フォークの免許に加え、運行管理者や危険物取扱など業務に関する資格全般とします。コミュニケーション支援ではクラブ活動支援や社員間の懇親費用支援、グループ旅行の費用補助など各社が工夫して実施しています。以上の福利厚生は、社員満足第一の企業姿勢をアピールし、求職者に働きやすい会社とイメージさせる効果が大です。
(コヤマ経営代表 中小企業診断士・日本物流学会会員・小山雅敬)
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筆者紹介
小山 雅敬
コヤマ経営
昭和53年大阪大学経済学部卒業
都市銀行入行。事業調査部、中小企業事業団派遣、シンクタンク業務に従事。
平成4年三井住友海上入社。中堅中小企業を中心に経営アドバイス、セミナー等を多数実施。
中小企業診断士、証券アナリスト、日本物流学会正会員 等資格保有。 -
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