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ブログ・小山 雅敬
第170回:成功する採用面接のポイント
2019年11月26日
【質問】採用面接後に入社を辞退されたり、採用面接時に良い人材と判断した社員が、実際は問題社員だったりと、このところ採用面接の失敗が続いています。失敗しない面接のポイントを教えてください。
採用面接は、求職者に自社の魅力や期待感を伝えて入社を促す観点と、求職者の人物像を見極める観点の両面があります。最近の運送業は、人手不足の影響で採用面接が極めて甘くなり、多少難点があっても目をつぶる傾向が強く表れています。結果として問題社員を抱え、トラブルに直面して後悔している会社からの相談が増えています。最近の雇用環境から採用が甘くなるのはやむを得ない面もありますが、採用面接は、一緒に働く仲間を決めるワンチャンスの機会であり、失敗しない面接を行うことが必要です。
運送会社から数多くのトラブル相談を受けた経験から、採用面接時に特に気をつけて観察する観点は3つあると思っています。それは「基本マナー」と「素直さ」「責任感」の見極めです。「基本マナー」は最初の電話の受け答えや脱いだ靴のそろえ方から始まり、面接時のあいさつの仕方、服装、言葉遣いなどから観察します。
「素直さ」は各質問への受け答えから観察します。「責任感」は「仕事をする上で最も大事なことは何ですか?」との質問などから観察します。面接時に、この3点を重点的に見極めると、採用後の大きなトラブルを回避できるでしょう。
次に履歴書を見るポイントを押さえておくことが重要です。ポイントは主に次の3点です。①職歴欄に不自然な空白の期間(半年以上)がないか②短期間(1年以内)に次々に職を変えていないか③日付や写真、文字の乱雑さ、免許資格、志望動機など記入欄の内容に違和感がないか、を見極めることです。履歴書からは多くの情報を読み取ることができ、失敗しない採用のための重要ポイントとなります。
前記に関して確認の質問をすることは、採用後の失敗を防止するために大事です。この際に業務に支障がある既往症の有無や事故歴、違反歴、前職の退職理由なども確認しておくことが重要です。聞くべきことを聞いて、敬遠され辞退されるのであれば、その人は「採用しなくてよかった」と考えてください。もちろん、尋問のような面接はだめで、会社としての取り組みや採用後の育成方法や処遇などについて会社から丁寧に伝える必要があります。求職者にとって魅力的な会社とは、何も聞かずに採用OKを出す会社ではなく、面接で選ばれたとの実感を持てる会社です。
(コヤマ経営代表 中小企業診断士・日本物流学会会員・小山雅敬)
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筆者紹介
小山 雅敬
コヤマ経営
昭和53年大阪大学経済学部卒業
都市銀行入行。事業調査部、中小企業事業団派遣、シンクタンク業務に従事。
平成4年三井住友海上入社。中堅中小企業を中心に経営アドバイス、セミナー等を多数実施。
中小企業診断士、証券アナリスト、日本物流学会正会員 等資格保有。 -
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