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ブログ・小山 雅敬
第174回:ドライバーの労働時間管理の方法
2020年1月21日
【質問】現在、わが社ではドライバーの労働時間を本人が運転日報に記載した出社・退社時刻を使って管理しています。最近、労働時間管理の方法が厳しくなったと聞きましたが、他の運送会社ではドライバーの労働時間をどのように管理しているのでしょうか?
平成29年1月に策定された「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」により、労働時間管理の方法は原則として、①使用者が自ら現認することにより適正に記録②タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録などの客観的な記録を基礎として確認し適正に記録︱︱のいずれかの方法によることとされました。
自己申告制により行わざるを得ない場合については、ア労働者及び管理者にガイドラインを踏まえた適正な申告について十分な説明を実施することイ実際の時間と合致しているか調査して補正することウ申告できる時間外労働に上限を設け、上限を超える申告を認めないなどの阻害措置を行わないこと︱︱などの条件が付され、安易な運用は不可とされました。
運送会社では、いまだに手書きの運転日報を使って時間管理をしている会社が存在します。これからは客観的で機械的な把握方法に変更するか、ガイドラインが求める自己申告制の場合の適正な運用を実施するか、いずれかの見直しが必要になります。
一般的に運送会社の労働時間管理の方法は、職種により管理方法を使い分けているケースが多く見られます。事務職や倉庫職、内務管理者などの労働時間管理にはタイムカードを使い、ドライバーの労働時間管理にはデジタルタコグラフを使っている会社が多く存在します。出社・退社の時間が不規則で深夜にわたる業務であるドライバーの労働時間管理にはデジタルタコグラフのほうが管理しやすいとの判断からでしょう。
デジタルタコグラフによる時間管理は客観的な把握方法で適正ですが、その中に出庫前・帰庫後の点検・点呼・洗車などの労働時間が含まれないため、より正確に労働時間を把握する目的でアルコール検知器によるアルコールチェックの記録(時刻)を使って時間管理をしている会社も存在します。
洗車の労働時間に関しては、自己申告制にする会社と一定の洗車時間を車格ごとに労使協定で定めて運用する会社とに分かれます。デジタルタコグラフで労働時間管理をしている会社の中には、点検・点呼の時間を出庫前10分、帰庫後10分と労使間で合意し、デジタルタコグラフで把握した労働時間に労使協定で定めた時間を追加している会社も見られます。
(コヤマ経営代表 中小企業診断士・日本物流学会会員・小山雅敬)
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筆者紹介
小山 雅敬
コヤマ経営
昭和53年大阪大学経済学部卒業
都市銀行入行。事業調査部、中小企業事業団派遣、シンクタンク業務に従事。
平成4年三井住友海上入社。中堅中小企業を中心に経営アドバイス、セミナー等を多数実施。
中小企業診断士、証券アナリスト、日本物流学会正会員 等資格保有。 -
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