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ブログ・小山 雅敬
第98回:2016年は物流再編の年
2017年2月12日
【質問】最近、中堅運送会社の再編統合の話題を聞きますが、今後も物流業界の再編は進むのでしょうか?
物流業界では大手・中堅企業を核とするM&Aや経営統合、事業再編が行われてきました。しかし、業界の顔ぶれが大きく入れ替わることはなく、比較的小粒な再編が繰り返されてきた感があります。この背景には、多重構造システムが長年にわたり築かれてきた事実があります。一時はノンアセット型の3PL業者が市場を席巻するのでは、と思われた時期もありましたが、結果として大手物流業の顔ぶれに大した変化がありませんでした。
中堅運送会社を中心とした経営統合の動きは2016年には、さらに活発化するものと思います。その主たる要因は「人材」です。人手不足の課題をいち早く解決した会社が勝ち残り、手をこまねいている会社が撤退するという構図が、この2~3年ではっきりと見えてきました。今、必要な資産は何よりも「人材」になりました。大手も中堅企業も人材なくして事業を拡大することは出来ません。高齢社員が次々と離脱していく中で、会社の魅力を最大限に引き上げ、若い人材を集める力を持つ会社だけが勝ち残ることになるでしょう。ブランド力を高め、広く人材を集めることで現状を超える物流システムにチャレンジでき、幅広い需要に応えることができます。
今後、元請け運送会社は単体の勝ち残りだけを目指すのではなく、相乗効果があると判断すれば、果敢に事業連携に踏み出す必要があるでしょう。共倒れよりも共存→強存を選択肢に入れることになり、この動きは特に物流子会社で急速に活発化するものと思います。物流子会社間にとどまらず、有力な協力運送会社を巻き込む再編が進むものと思います。
物流子会社勝ち残りの条件はドライバーと車両の囲い込みです。十分な機動力を持たない物流子会社は存在意義が薄くなりました。ましてや親会社の人材受け入れ先として存在する会社は勝ち残ることが困難です。今年は勝ち残りに向けた再編が急速に進む年になるでしょう。
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筆者紹介
小山 雅敬
コヤマ経営
昭和53年大阪大学経済学部卒業
都市銀行入行。事業調査部、中小企業事業団派遣、シンクタンク業務に従事。
平成4年三井住友海上入社。中堅中小企業を中心に経営アドバイス、セミナー等を多数実施。
中小企業診断士、証券アナリスト、日本物流学会正会員 等資格保有。 -
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