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ブログ・小山 雅敬
第111回:若手社員定着のために実行すべきこと
2017年8月7日
【質問】当社では、人材採用とともに社員定着の対策が課題です。最近、若手ドライバーの退職が連続して発生しており、何らかの対策が必要だと考えています。同業他社は、どのような工夫をしているのでしょうか?
運送業は現在、人手不足が最大の経営課題になっています。その環境下で、社員が定着せずに辞めていく事態は、経営に深刻な影響を与えます。特に、将来の基幹社員として期待していた若手社員の退職は、経営者にとって大きな失望感と無力感を感じる出来事です。最近はドライバーの定着促進に関する相談を受けることが多くなりました。退職者が集中する時期は定期的にやってきます。入社して3日、3か月、3年が「社員の辞め時」とも言われ、「辞めたい症候群」が発生するこの時期を、いかに乗り越えるかが重要です。もちろん、背景にある長時間労働の削減など、労働条件の改善が必要なことは言うまでもありません。
ただし、相談を受けた会社の中には、特に労働条件が過酷ともいえない会社が含まれます。「仕事は好きですが、この会社にいても将来が見えないから」と言って辞めた社員の言葉に、大きなショックを受けた経営者もいました。社員の定着を図るためには、職場内のコミュニケーションが一番大事ですが、今はそれだけでは不十分です。今後は、社員の家族とのコミュニケーションにも本気で取り組まなければなりません。
今の若手社員は良好な人間関係を求めており、自分と家族の幸福感に仕事のやりがいや自己有用感を見いだしています。家族の意見は会社選択や定着の大きな要素となっています。家族から「良い会社だね」と言ってもらえる会社になることが重要です。これからは家族にも会社の取り組み(特に安全対策)を積極的に伝えましょう。家族を招いて懇親イベントを実施しましょう。家族の慶事には社長名でプレゼントをしましょう。本人を表彰する時は、家族にも感謝状を出しましょう。「この会社と経営者のためなら多少仕事がきつくても頑張れる」と思ってもらえる環境を作ることが重要です。
また、本人のやりがいを高めるために、将来のキャリアプランを示してあげることが重要です。2トンから4トン、大型へとステップアップし、技能を高めることで処遇も上がる、明確で透明性のある社内制度を示すことが必要です。経営者のさじ加減で給与が決まるブラックボックスのような会社には若手社員は決して定着しません。これらの点をしっかりと行っている会社は実際に定着率が高いのです。
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筆者紹介
小山 雅敬
コヤマ経営
昭和53年大阪大学経済学部卒業
都市銀行入行。事業調査部、中小企業事業団派遣、シンクタンク業務に従事。
平成4年三井住友海上入社。中堅中小企業を中心に経営アドバイス、セミナー等を多数実施。
中小企業診断士、証券アナリスト、日本物流学会正会員 等資格保有。 -
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