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ブログ・小山 雅敬
第128回:信頼していたベテラン配車マンが急に辞める!
2018年4月10日
【質問】弊社の配車係が急に辞めることになりました。運行管理一切を任せていたため、想定外の退職申し出に困っています。今後、このような事態を防止する対策はあるでしょうか?
「信頼していた配車マンが急に辞めて困った」という相談を受けることが時々あります。運送会社で、運行管理を担当する配車係は経営の要となる人材です。安全管理、収益管理など経営の中心を担い、ドライバーとのコミュニケーションや荷主との連携においても非常に重要な役割を果たしています。その人材に突然辞められると、経営に対する影響は甚大です。
信頼していた配車マンがなぜ、突然辞める事態に至るのでしょうか。退社する管理者に退職理由を聞くと、「拘束時間や労働時間を守って配車するのは困難だ」「責任ばかり押し付けられるのは納得がいかない」「もっと働きたいと訴えるドライバーを抑えることが難しい」「給与が少ない」など業務や処遇に関する不満の声が聞かれます。近年、法令順守が強化される中、経営層からの業務指示とドライバーからの「もっと稼ぎたい」という要望との板挟みになり、日々苦労している現場管理者の姿が浮き彫りになります。
最近、「運行管理者に選任されたくない」という声をよく聞きます。特に「統括運行管理者だけは勘弁してくれ」という声が聞かれます。これから若年者の採用に力を入れるべき時に、「将来は管理職になって運行管理を担いたい」という若者の夢を壊すことは出来ません。運行管理者を目標にしてもらう必要があります。このギャップを埋めるには運行管理・配車管理を担当する管理者の処遇を思い切って改善することが必要です。運行管理者の賃金がドライバーよりも低いこと自体、人事・賃金制度としておかしいと考えるべきです。ドライバーの給与の8掛けで管理者が働いていては目標になりえないし、将来の夢とは程遠いでしょう。
ある中小運送会社は運行管理者に約600万円の高年収を与え、大幅に権限を委譲しています。その管理者は社員と荷主の信頼を得て活躍しており、社長もいずれは役員に引き上げ、自分の右腕にしたいと期待しています。組織活性化の近道は、職場に目標とすべき存在があり、その目標となる人物がイキイキと輝いていることです。今、ドライバーの確保や賃金改善のみに目を向けるのではなく、運行管理者・配車係など要の人材の処遇改善にも着手すべきだと思います。
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筆者紹介
小山 雅敬
コヤマ経営
昭和53年大阪大学経済学部卒業
都市銀行入行。事業調査部、中小企業事業団派遣、シンクタンク業務に従事。
平成4年三井住友海上入社。中堅中小企業を中心に経営アドバイス、セミナー等を多数実施。
中小企業診断士、証券アナリスト、日本物流学会正会員 等資格保有。 -
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