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ブログ・名南コンサルティングネットワーク
第8回:株主との関係を見直す
2013年10月21日
株式会社の最高意思決定機関は言うまでもなく、株主総会です。株主総会の決議事項として、剰余金の配当、取締役の選任、監査役の選任、取締役の報酬(枠)の決定、定款の変更などが挙げられます。会社は重要事項について、株主の理解を得ずに決定していくことはできません。今回は株主の基本的な権利、株式の性質について取り上げます。
株主は、株式を通じて会社を所有しています。所有者である以上、(1)譲渡したいときに譲渡する自由(株式譲渡自由の原則)(2)自分の意思を反映させる自由(たとえば議決権)(3)収益・財産的利益をあげる自由(たとえば配当請求権)があるのが原則となります。しかし会社側から見ると、この原則が貫かれると経営に支障をきたすことも生じてしまいます。そのため会社法では、株式を支配関係の側面と金融商品的な側面とに分化して、その比重を必要に応じて修正することが認められています。
誰が株主か、会社にとって非常に重要です。株主は会社の意思決定権を持っているからです。そこで、株式を譲渡するには会社の承認を必要とする、という定めを設けることができます。いわゆる「譲渡制限株式((1)の修正)」と言われるもので、この定めがある場合、会社にとって好ましくない譲渡先を拒否し、会社が譲渡先を指定することもできます。譲渡を希望する株主としては、譲渡先が変わったとしても投下資本を回収する機会は保障されていることになります。
また、一定の従業員に株式を持ってもらいたいと考える経営者の方は多いと思います。株式を持つことで、会社への帰属意識を高め、モチベーションアップにもつながるからです。ただ、会社の意思決定に従業員はあまり参加してほしくない、という考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。そのような場合、株主総会での議決権を制限し、代わりに配当を少し余計に支払うという定めを設けることも認められています。従業員とすれば仕事を頑張れは配当が得られ、会社としては意思決定に多数の者が参加せず、迅速な意思決定ができる、というメリットが双方に生まれます。これが「議決権制限株式((2)の修正)」や「配当優先株式((3)の修正)」と言われるものです。
会社法は使い方次第で、会社と株主それぞれの利害を上手に調整できます。コンプライアンス経営の第一歩として、会社と株主の双方の利益を最大限とするよう、株主との関係を見直してはいかがでしょうか。
(岩本直也・名南コンサルティングネットワーク http://www.meinan.net/)この記事へのコメント
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筆者紹介
名南コンサルティングネットワーク
東海地区トップクラスの経営コンサルタント集団。税理士、司法書士、社会保険労務士、行政書士、不動産鑑定士、中小企業診断士など様々な資格を活かし、経営コンサルティングだけでなく労務管理、税務会計、各種登記・許認可申請、資産運用助言、ISO認証取得支援、マネジメントシステム構築支援など中小・中堅企業の経営をトータルにサポート。「運送業支援チーム」を結成し、業界特有のトラブル対応やトラブルの未然防止策などの経営支援に力を入れている。
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