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ブログ・野口 誠一
第13回:倒産の前触れ第8条/努力しても赤字が続くとき
2004年2月10日
倒産の前ぶれ15カ条の第8条は、『努力しても赤字が続くとき』である。
これは当然のことと言っていいが、当の経営者は決してそれを認めない。
景気がよくなれば業績も好転する、デフレにストップがかかれば売上げも回復する……そう思い込んでいるからである。八起会へ相談に見える経営者の大半はこの類と言っていい。いわゆる「待ち」の経営だが、もはやそうした手法が通用しないことは立証済みであろう。
今回の不況はその長期化といい、深刻度といい、デフレを伴ったことといい、異例であり異状である。その間、土地神話は崩れ、日本的経営の神話さえもことごとく崩壊しさった。
つまり、この国の経済が構造改革を終える前に、不況のほうが構造を転換していたのである。
そんな不況に対して、従来のような「待ち」の経営が奏功するはずもない。待ったあげくが倒産という例は枚挙にいとまがない。
経営の難しさは、努力しなければ確実に倒産するが、努力しても倒産を免れないケースがあることである。その原因は必ずしもデフレや長期不況にだけあるわけではない。
無駄な努力や方向を誤った努力は、倒産を加速する一因と言っていい。努力しても赤字が続くということは、すでに自社の商品・サービスが社会的有用性を失ったからではないのか。
あるいは、自社の業種が時代遅れになったからではないのか。
そう自問してみるのも悪いことではない。
石炭が石油に、自転車が自動車に、ラジオがテレビにとってかわられたように、いかなる業種といえども永遠ということはあり得ない。経営努力にもかかわらず赤字が続くということは、そういうこととも考えられる。そんなときは、余力のあるうちに業種転換することも一法であろう。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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