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ブログ・野口 誠一
第24回:倒産の原因第9位/計数管理の不足と勉強不足
2004年3月17日
「倒産の原因ワースト10」の第9位は、経営者の「計数管理の不足と勉強不足」である。
血圧や血糖値が健康度を示すバロメーターであるように、企業の財務諸表の数字は経営の健全度を映す鏡である。
にもかかわらず、その数字に無頓着な経営者や、なかには数字そのものが読めない経営者も少なくない。これでは無免許運転も同じこと、いつ事故(倒産)が起きても不思議ない。
八起会の会員のなかにも、計数管理を軽視したばっかりに、倒産を余儀なくされた例は枚挙にいとまがない。たとえば、商品が売れているから儲かっているはずだ、受注が途切れないから利益も上がっているはずだ、とドンブリ勘定やアバウト経営を続けた結果、あえなく倒産した会員もいれば、計数管理を税理士や経理マンに任せっ放しにした結果、ごっそりと穴をあけられて倒産した会員もいる。
計数管理は経営者の基本であり、最低条件であろう。
目標も計画も、正確な数字をつかまずしては立てられるはずもない。数字の相談なく、忙しくなったから人を増やす、人が増えたから事務所を広げる…というのは場あたり経営である。それでは順境のときはともかく、逆境下ではひとたまりもあるまい。
経営の実態は否応なくバランスシートに表れる。そこを読む、読めることが先決で、勉強はまたその先にある。大は世界経済、日本経済のゆくえから、小は業界、他社の動きまで、勉強しなければならないことは山ほどある。もはや「中小企業に世界経済など関係ない」という理屈は通らない。もしも親会社や上請け会社が、生産や工場を中国などへ移したら、たちまち倒産に追い込まれることにもなろう。それが市場経済であり、グローバリゼーションである。これからの中小企業は、情報に敏感でなければ生き残っていけないと知るべきであろう。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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