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ブログ・野口 誠一
第28回:倒産の原因第5位/新商品の欠如・技術開発の遅れ
2004年3月29日
「倒産の原因ワースト10」の第5位は「新商品の欠如・技術開発の遅れ」である。
何事につけ成功は難しい。が、それよりも難しいのが、成功した手法と体験をかなぐり捨て、新しい現実と変化に対応していくことである。そのことは、日本経済の現状が如実に証明している。
バブルがはじけて十余年、日本経済は一向に立ち直る気配がない。それどころか、デフレ、不良債権、消費不況の三重苦に息も絶え絶えである。
その原因は「世界に冠たる日本経済」を実現した成功体験にとらわれ、市場経済、グローバリーゼーションという変化に構造対応できなかったからである。それが失われた10年の姿であろう。
どんな商品にもライフ・サイクルとプロダクツ・サイクルがある。つまり、いかなる新商品といえども導入、伝播、成熟、衰退の道をたどって売れなくなっていく。
また、どんなに独創的な技術でも、いずれ標準化をまぬがれない。そして過当競争が始まり、やがて生産は人件費の安い国へ移っていく。その好例が繊維製品であろう。イギリスの産業革命がもたらした繊維製品は、当時にあってはハイテク中のハイテクであったが、やがてそれはアメリカに移り、日本へ移り、いまは中国に移っている。ハイテクがいつまでもハイテクにとどまることはできないし、どんな売れ筋商品でも放物線を描きながら落ちていき、やがて生産も人件費の安い国へ移っていく。
経営は終わらないマラソンである。倒産に追いつかれないためには走り続けるしかない。
新商品が途切れたり、技術開発を怠ったりすれば、たちまち倒産である。一時的なヒット商品や画期的な技術に頼りすぎ、その後のフォローを怠って倒産を招いた例は枚挙にいとまがない。
放物線が下降カーブを描く前に、次なる新商品を投入できる態勢に入っておくべきであろう。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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