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ブログ・野口 誠一
第29回:倒産の原因第4位/業界情報の不足と環境変化への対応不備
2004年4月1日
「倒産の原因ワースト10」の第4位は、「業界情報の不足と環境変化への対応不備」である。
この「情報」と対応はコインの裏表の関係にある。
つまり、常に情報を的確にキャッチして分析していれば、事前に環境の変化も読めるし、対応も可能だからである。
経営は環境適応業と言っていい。バブルが弾けようとデフレに見舞われようと、その環境に適応しながら生き残っていくしかない。それが「継営」であり、経営である。
とすれば、環境の変化に敏感でなければならないし、そのためには「情報」の収集と分析が欠かせない。大企業であろうと、中小企業であろうと、一生懸命作ればいい。売ればいいという時代はとっくに過ぎた。いまやユーザー、消費者のほうが情報によって動く。これからは情報やIT(情報技術)を無視した経営は成り立たないと言っていい。
大企業はすでに系列取引を放棄してインターネット取引に切り替え、最も低コストの国や企業から資材、部品を調達しているし、街の個人商店でも気の利いたところは、従来の問屋や市場に代えてインターネットを通じ、最もコストの安い地方や市場から商品を仕入れている。コストは第三の利益である。現在のようなデフレ下にあっては、この第三の利益が大きくものを言う。
その成功例はオンライン証券である。大証券が相変わらず対面営業にこだわっている間に、中小証券はインターネット取引によって急速に業績を伸ばしつつある。しかも売買手数料を従来の件数当たりから、一日に何回売買しても手数料は一定という「一日当たり」に切り替え、顧客増につなげている。情報やITを駆使すれば、中小が大を凌駕することも夢ではない。
ITは不可逆の矢である。古いビジネスモデルにしがみついていては、取り残されていく。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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