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ブログ・野口 誠一
第39回:倒産者に共通する性格第5条・過去にとらわれて苦しむ
2004年5月3日
倒産者に共通する性格の第5条は、「過去にとらわれて苦しむ」ことである。
これほど無意味で非生産的な苦しみもないが、倒産者の大半に共通すると言っていい。「あの頃はよかったのに…」と嘆く者もいれば、「あのときああしておけばよかったのに…」と後悔する者もいる。
が、これではいつまで経っても再起はおぼつかない。
私はよく会員に「同じ苦しむなら過去ではなく、明日のことで苦しみましょうよ」と言うが、それは、過去の成功体験や後悔の中に再起の芽はないからである。
事実、再起や転換を要するとき、過去の成功体験ほど邪魔になるものはない。そのことは日本経済の長期低迷、失われた10年が如実に証明している。市場経済だ、グローバリゼーションだ、新しいコーポレート・ガバナンス(企業統治)の確立を、新しいビジネス・モデルの構築を、と言いながら、いまだに構造転換ができずにいるのは、かつて大成功した「日本的経営」に引きずられているからであろう。
武田信玄が「勝ちすぎてはならぬ」と戒めたのも、大勝しすぎてはその成功体験にとらわれてしまうからである。同じ戦法がいつまでも通用するはずがない。にもかかわらず息子の勝頼は、古いビジネス・モデル「騎馬軍団」をもって長篠戦に臨み、織田・徳川連合軍の新しいビジネス・モデル「鉄砲軍団」の前に惨敗を喫した。
経営とて同様である。過去の成功体験にとらわれている限り、負け組を免れまい。目下この国はデフレ、不良債権、財政赤字の三すくみ状態にある。中小企業はこの混乱期を見逃すテはない。
安定期はいつの時代も大企業の安定だったはずである。その大企業のタガがゆるみ、参入規制や護送船団の崩れたいまこそ、中小企業にとって飛躍のチャンスであろう。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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