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ブログ・野口 誠一
第40回:倒産者に共通する性格第6条・頭でわかっていても実行しない
2004年5月6日
倒産者に共通する性格の第6条は、「頭でわかっていても実行しない」ことである。
これはあまりにも当たり前すぎて、多言を要しない。たとえて言えば、勉強しなければ落第するとわかっていながら、勉強をせずに落第する学生のようなものであろう。こういう経営者はまず倒産を免れない。
日産自動車は平成14年の中間決算で営業利益、純利益とも過去最高を記録した。とくに営業利益は85%増を達成し、ついにホンダをキャッチした。数年前までは倒産もあり得ると目されていた日産が、なぜかくも劇的なV字型回復を実現し得たのだろうか。むろん、カルロス・ゴーン社長の経営手腕もあろう。が、本当の理由は、ゴーン社長が「頭でわかっていることを着実に実行した」からである。
ゴーン社長は次々に工場を閉鎖し、大幅に人員をリストラし、ドラスティックにコスト・カットを断行した。が、そうしなければ日産の再生がないことは、以前の経営陣とて、「頭では」わかっていた。ただ、それを実行しなかっただけである。そのことについてゴーン社長は、「日産が長期低落していくのを目の前にしながら、なぜ十数年も有効な手を打たなかったのか。それが不思議でならない」と語っている。
この言葉の目方は実に重い。経営者の不作為は万死に値する罪と言っていい。にもかかわらず、近頃この不作為が銀行の不良債権処理であろう。98年に1・8兆円、99年に7・5兆円の公的資金を注入されながら、いまだに処理できないというのは、不作為と言われても仕方あるまい。問題の所在が明白なのに、それを実行できないとは情けない話である。
「頭でわかっていても実行しない」のは、座して死を待つに等しかろう。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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