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ブログ・野口 誠一
第41回:倒産者に共通する性格第7条・頼まれたらノーと言えないお人好し
2004年5月9日
倒産者に共通する性格の第7条は、「お人好し」(頼まれたらノーと言えない)である。
経営者に関する限り、この「お人好し」は決して褒め言葉ではない。 軽い侮りと揶揄を含んだ言葉である。
「頼まれたらノーと言えない」ということは、見栄や物事や善悪の判断能力が欠如していることを意味する。これではとても経営者はつとまらない。
経営は1に判断力、2に決断力、3に実行力の三位一体を要する。どれが欠けても倒産を免れない。にもかかわらず、肝心の判断力を欠くアバウト経営者が意外に少なくない。
安易に融通手形を切ったり、連帯保証人になって窮地に追い込まれ、八起会へ駆け込んでくるケースも後を絶たない。
私は常々「経営者が人に何か頼まれたときは、冷静沈着に、二つの判断を下さなければならない」とアドバイスしている。一つは、依頼者の意図と人となりを見抜き、それが嘘や詐欺でないことを確かめたうえで、さらに、いまその人を助けることが本当にその人のためになるかどうかの判断である。人助けは決して悪いことではない。しかし、それがその人の甘えを助長したり、将来かえって苦しむような一時しのぎにしかならないと判断したら、心を鬼にしてでも断るべきである。それが本当の愛情というものであろう。
もう一つは、まさかのときのリスク判断である。いくら助けようとしても助からない場合もある。そのときは手形もまわってくるし、連帯保証責任も発生する。そのリスクを背負うだけの余力があるかどうかの判断は極めて重要である。
人助けが共倒れになっては元も子もあるまい。経営者は常に最悪の事態を念頭において判断すべきであり、決して「お人好し」に陥ってはなるまい。お人好しは美徳でも何でもないのだから。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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